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2019.11.22 Fri

デザイン

2019年の新聞広告大賞は?受賞広告をデザイナーの視点で解説

新聞広告賞

10月15日からの1週間は新聞への理解を深めてもらうため、日本新聞協会が中心となり「新聞週間」が設けられています。その期間中に開かれる「新聞広告の日」記念式典では、日本新聞協会が選ぶ今年の新聞広告賞の受賞式を開催。新聞広告の新しい可能性を開拓した広告活動を顕彰しています。

新聞広告のデザイン制作に携わって10年以上の私が、おもしろい新聞広告のあり方を模索するために今年の新聞広告賞を自分なりの視点で解説します。

元カープの黒田博樹氏が地元紙に掲載した個人広告が大賞に

【新聞広告大賞】カープ新井選手引退記念企画「結局、新井は凄かった」/黒田博樹氏

黒田博樹氏が広告主の新聞広告

新聞広告大賞を受賞したのは大手メーカーやヒット商品ではなく、個人広告。広告主は2016年に広島東洋カープを現役引退した黒田博樹氏です。かつての同僚である新井貴浩選手が2018年に現役を引退し、その功績をたたえるための広告でした。掲載は地元紙だったため、遠方からこの新聞を求める人も続出。各メディアで大きな話題となりました。

日本経済新聞の記事をチェック!

15段の裏表に印刷された内容は、広告主である黒田氏ならでは。過去のスポーツ面をコラージュした表面は、なんと新井選手が酷評されている切り抜きばかり!しかし、ページをめくり裏面を見ると、全面の真っ赤なカープカラーに「結局、新井は凄かった」のシンプルな一言で締めくくられています。黒田氏と新井選手の強い絆と、深いカープ愛を感じられる粋な紙面です。こんな大胆な紙面を実践できるのは個人広告の強みですね。大賞を受賞するのも納得です。

年末年始の休業を斬新なスタイルで告知

【広告主部門・新聞広告賞】2億円事件。お正月働き方改革広告/株式会社幸楽苑ホールディングス

幸楽苑の新聞広告

次に取り上げるのは、ラーメンチェーン店・幸楽苑の15段全面広告。稼ぎ時となる年末年始に休業する告知ですが、それによって失われる売り上げ「2億円」を大きくレイアウトしたインパクトのある紙面です。

キツイ仕事をイメージしてしまう飲食店が働き方改革の一翼を担い、旗振り役となって推し進める強い信念を感じました。お客様となる読者をはじめ、取引先企業や従業員、その家族などにも大きな影響を与えたと思われる印象的な広告です。

柔軟剤などの匂いによる「香害」を問題提起した広告

【広告主部門・新聞広告賞】香害 2点シリーズ/シャボン玉石けん株式会社

 

シャボン玉石けんの広告

「香害」とは、柔軟剤などの人工的で過剰な香りに使われる化学物質によって、頭痛やめまい、吐き気などの健康被害が引き起こされる問題のこと。以前から添加物を使わずに日用品を製造するシャボン玉石けんが、「香害」を社会問題として切り込み、自社製品の安全性をアピールする内容です。

普段は白を基調とした爽やかな広告が多い同社。柔軟剤のような容器から立ち込める煙が、大気汚染を彷彿とさせて恐怖心を煽り、「公害」という文字と一見華やかなショッキングピンクの対比が印象的です。
子どもの字で書かれた、「香害」に困っている内容の手紙も、グッとくるものがありますね。

ウィキペディアをそのまま使ったユニークな広告

【広告主部門・新聞広告賞】弊社Wikipediaをいったんそのまま掲載します。/株式会社セブンツーセブン

727の広告

東海道新幹線の車窓から見える、赤い字で「727」と書かれた野立て看板。一度は見たことがある人もいるのではないでしょうか。看板は知られているけれど、実際の会社自体が認識されていない現状を踏まえ、あえて「ウィキペディア」の自社ページを掲載した紙面です。オリジナリティを出すために野立て看板を選んだ同社は、新聞広告でも独自のセンスが光り、それが評価されました。

ウィキペディアの簡素なレイアウトが逆に目を引き、モノクロながら印象に残る紙面に感じます。

新元号発表シーンを大胆にパロディ!

【広告主部門・新聞広告賞】新元号キンチョール(4月1日)/大日本除虫菊株式会社

キンチョールの広告

新元号が発表される4月1日に掲載されたキンチョールの広告は、見開き30段を使い、故・小渕恵三氏の「平成」元号発表を模したデザインで、香川照之さんを起用しました。当時と同じ掲げ方で、マイクも再現するなど細部にまでこだわりを感じます。

今までもコミカルな広告を展開してきた同社が、新たな時代にも同じようにユーモアを忘れない企業の姿勢を印象づけたのではないでしょうか。掲載当日がエイプリルフールということも相まって、ネット上でも大きな反響を呼びました。

就活女性に向けた、自由を感じさせる広告

パンテーン #HairWeGoキャンペーン 就活ver.1 #1000人の就活生のホンネ/プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会社

パンテーンの広告

画一的な就活ヘア「ひっつめ髪」を半ば強制する現在の就職活動に一石を投じる、パンテーンのキャンペーン広告が受賞。1000人の就職活動経験者の意見をモザイクアートにして、髪を解いた女性を表現しています。女性の本音をまとめた広告は就活生をはじめ、さまざまな社会的な議論を呼びました。

P&G公式サイト

noteのまとめ

2019年となる今年はさらに企業の人事側からの声を集め、多角的な枠組みでのプロジェクトに発展しています。#MeTooや#KuToo運動のように、男性社会のなか、画一的な女性像を強制することに、ようやく声をあげられるようになったことが評価されたと思います。

さいごに

今年の新聞広告賞では、ユニーク、新しい見せ方で展開した広告が高く評価を受けたように思いました。また、SNSで拡散されることも念頭に置き、共有したくなるような、一言添えたくなるような小技を効かせているのも共通点として挙げられます。

また、声をあげにくい弱者の意見をすくい上げ、企業側から社会問題を提起する傾向も見られました。真摯に向き合う姿勢が読者からの信頼を呼び、ひいては自社商品の魅力アップや質の高い人材確保など、広い範囲で影響を及ぼすことになりそうです。

そのほかの受賞広告は日本新聞協会のホームページを見てみてくださいね。

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AYANO TANAKA

この記事の執筆者AYANO TANAKAデザイナー

大学を卒業後、2006年新卒入社の社員第1号。1年目は編集者兼ライターとして、2年目から約9年間はデザイナー兼編集者として勤務し、新聞広告・ムック本の制作を主に担当。硬派な仕事が好み。2度の育児休業を経て2019年4月に時短勤務で復帰。仕事はつねに全速力で行うことを心がける。旅行&自転車好きが高じて、某新聞社の旅行サイトで2年間ブログを連載。子どもとお出かけがライフワークで、趣味は断捨離と株式投資。

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