2021.03.25 Thu
社員インタビューで必須な質問は?会社の魅力が伝わる記事の書き方をレクチャー
「他社との違いを出したい…」「社員がうまく話してくれるか不安」「どんな記事になるのか想像できない」など、社員インタビューをつくる際の悩みをよくいただきます。このように採用やPRのために「社員インタビュー」に取り組む企業は多いと思いますが、コンテンツを通して会社の魅力を伝えるにはどうするのが正解なのでしょうか?
今回の記事では「社員インタビュー」をテーマに、効果的な質問例やインタビューのコツ、記事の書き方などを解説。読者に自社の魅力が伝わり、共感を得られる記事のつくるノウハウについてレクチャーしていきたいと思います。記事の後半ではエディマートの制作実例も紹介しますので、ぜひ見本として参考にしてくださいね。
目次
1.理想的な社員インタビュー記事とは?
社員インタビュー記事を作る際に、最初に考えたいのが「記事の切り口」です。普段からいろんなメディアの社員インタビュー記事を目にしますが、「もったいない…」と思う記事にはある傾向があります。
それは、
- 人物紹介の記事になっている
という点です。
企業発信の情報である以上、読者が興味を持つのはインタビュー対象者の「ノウハウ」「独自性」「先進性」が中心になります。その人の「趣味」「性格」「やりがい」はあくまで補足情報であるべきなのに、それらについて長々と書いてしまうと「結局、何が言いたかったの?」と本質が伝わらない記事になりかねません。
まずは「読者に何を伝える記事にするのか」を決めておき、話題の軸を作っていきましょう。おすすめは、最初に「仮タイトル」を考えておく方法です。自身の知識や、ネット・書籍でリサーチを行い、「こんな記事にしたいな」というイメージを膨らませてみてください。
仮タイトルの例
- オウンドメディア成功のカギは「アナログ」的な解釈。年間100件のメディア立ち上げに携わるwebディレクターが導き出した最適解は?
- 「効率化の答えは“ドライバーの安全”でした」。社内の反対を押し切って進めたIoTの導入が、物流の常識を変えた。
- 文房具メーカーが飲食店を経営?消しゴムの開発を20年間続けた企画担当が狙う、新たなビジネスの形とは
※すべて、想像で考えた記事タイトルです。事実とは異なります
ターゲットを想定して記事の切り口を考える
記事の切り口を考える際に、必ず考えておかないといけないのは記事のターゲット。つまり、この社員インタビュー記事を「誰に読んでもらって」「どう動いてほしいか」ということ。
例えば新卒採用サイト上で社員インタビュー記事を掲載する場合、下記が考えられます。
- 誰に読んでもらいたいか…新卒で就職活動をしている学生/自社、または自社の業界に興味を持っている人
- どう動いてほしいか…応募企業の一社に加えてもらいたい/仕事内容を理解させてミスマッチを防ぎたい
また、同じ切り口の記事を量産するのも非効率。インタビュー社員の属性(キャリア・部署・性別など)をバラけさせるなど、人選にも注意する必要もあります。
2.社員の魅力を引き出す、効果的な質問を考える
切り口に応じて「質問シート」を作成する
記事の切り口が固まったら、インタビュー対象者へ事前にわたす「質問シート」を作りましょう。記事の切り口が固まっていれば、質問内容はとても考えやすいです。例えば、以下の切り口をベースに実際に考えていきます。
- オウンドメディア成功のカギは「アナログ」的な解釈。年間100件のメディア立ち上げに携わるwebディレクターが導き出した最適解は?
この切り口を“こま切れ“にして、キーワードに対する質問を考えていきましょう。
質問の考え方
- オウンドメディア成功のカギ
○○さんが考えるオウンドメディアの成功指標は/成功するためには何をしたら良いか/失敗はどんなパターンを指すのか/成功、失敗を判断するのに必要な期間はどのくらいかetc.
- 年間100件のメディア立ち上げに携わる
○○さんはどのような立場で制作に携わっているのか/どんなチームを組んでプロジェクトを進めるのか/理想的なチームの条件は何か/特に印象深い事例は/成功体験&失敗体験etc.
- webディレクターが導き出した最適解は?
○○さんの経験則で導き出した「成功のカギ」は何か/どんな経験によってその答えが出たのか/その答えに懸念事項や例外はないか/その答えを資産に、今後どのような展開を想定しているかetc.
このように、切り口に散りばめたキーワードを“紐解いていく形”で質問を考えていきます。ここで挙げた質問もぼくの方で適当に想像しましたが、その人の経歴や性格、会社での立ち位置を把握していれば、より具体的な質問を用意できることでしょう。
ここで知っておいてほしいポイントは、切り口を決める前に「質問」を考えるのは避けてほしいということです。「どんな記事にしていきたいのか」「どこまでの話を聞きたいのか」「最終的に読者に何を伝えたいのか」を明確にし、実りある質問を考えるようにしましょう。
社員インタビューの質問例
とはいえ、記事をつくる上でテンプレートとなる質問もいくつかあります。「テーマ」に区切って質問例を紹介しますので、ぜひ役立ててください。
会社の魅力を話してもらう際の質問例
- 就職活動の際にどのような視点で会社を探していましたか?
- この会社はどのようにして知りましたか?
- 採用フローを進めるなかで、どのような印象を抱きましたか?
- 入社を決めた要因を3つお聞かせください
- 入社前と入社後で感じたギャップをお聞かせください
- 入社後、一番に任されたのはどのような仕事でしたか?
- 会社の経営理念や社訓に対して、どのような印象を持っていますか?
- 「入社してよかった」と感じていることはなんですか?
- この会社でどのように成長していきたいですか?
仕事内容を話してもらう際の質問例
- 所属している部署、チームのご説明をお願いします
- 部署、チーム内ではどのようなポジションですか?
- 一日の仕事の流れをお聞かせください
- 仕事のやりがいをお聞かせください
- これまで一番苦労した仕事のエピソードをお聞かせください
- これまでで一番、成功を感じた仕事のエピソードをお聞かせください
- チームメンバーとはどのようなコミュニケーションを図っていますか?
- お客様とのやり取りのなかで、印象深いエピソードをお聞かせください
- 今後、挑戦したい仕事やポジションについてお聞かせください
- 理想のキャリアを描くために、ご自身ではどのような研鑽をされていますか?
私生活について話してもらう際の質問例
- 仕事後や休日はどのように過ごしていますか?
- 趣味をお聞かせください
- 仕事とプライベートの両立はできていますか?
- 仕事の経験が私生活で役立っている」と感じた経験はありますか?
- よく活用される、もしくは「あってよかった」と感じる福利厚生をお聞かせください
質問はインタビュー対象者に事前に共有。回答も考えておいてもらう
インタビューの数日前には「質問シート」を対象者に共有しておきましょう。
その際に、「どんなことを話すか、ある程度考えてきてくださいね」と伝えておくと良いですね。また、可能であれば質問に対する回答を文章でもらえると、当日のインタビューがさらに充実した場になると思います。
難なく会話できる程度に、勉強をしておく
当たり前のことですが、インタビュー前に最低限の知識は勉強するようにしてください。ただ、社内のスタッフに話を聞くのであれば、それほど深く学ぶ必要はないとも感じます。
- インタビュー対象者の経歴
- 現在はどんな仕事をしているのか
- 話題の中心になりそうな実績
- 仕事における力点(やりがい、実績、お金)はどこか
この程度を把握しておくと、インタビュー時の会話がスムーズになりそうですね。
注意点ですが、プロのライターとして他社の社員をインタビューする際はこれに当てはまりません。企業の歴史やビジネス領域、インタビュー対象者の深い経歴をしっかりと調べるようにしてください。「深く学ぶ必要がない」のは、あくまで自社の社員をインタビューする際の話です。
3.社員インタビューで実りある回答をもらう方法
そしてインタビュー当日。ICレコーダーを回して、さあ本番です。
プロのライターがインタビューで意識するポイントは?
社員インタビューのハウツー記事ではよく、「緊張をほぐして〜」「リラックスした雰囲気を作って〜」など書かれているのをよく見ますが、実際はどうでしょうか?これをクリアするのって、実はプロのライターでもハードルが高いテクニックだと思います。
では、プロのライターは何を意識するのか。
それは話題を適切に「掘り下げる」ことです。新人ライターからもよく「どうしたら、インタビューで上手に話せますか?」と聞かれますが、決まって「“上手に話す”必要はないよ」と答えるようにしています。従って、無理に和気あいあいとした空気を作る必要もありません。
自身は言葉に詰まりながらでも構わないので、インタビュー対象が発した話題に対して「疑問」を見つけ、質問を重ねるように意識してみてください。きっと、「そうですね」「そうかもしれません」「それは違うかも…」というイエス・ノーの回答が減り、具体的なエピソードを引き出せるはずです。
念のため、まとめておきます。
- ICレコーダーでインタビュー音声を録音する
- “上手に話す”必要はない。相手の話に傾聴することが大事
- 話題に対して疑問を持つ。「なぜそうしたか」「どうだったか」「どう感じたか」を聞く
- 「そうですね」「そうかもしれません」「それは違うかも…」の回答が続いたら要注意
仕事の雰囲気をイメージしてもらえる写真を撮影
社員インタビュー記事でよく見かけるのがこんな写真。
撮影するべきカットではありますが、このような写真だけが差し込まれた記事はどうでしょうか?実際のとこを、興味深く読みたいとは思えません。
インタビュー当日にできる範囲で、話題に出てきた「お仕事シーン」の写真を撮ってみてはいかがでしょうか?
例えばこんな写真
- 打ち合わせをしているシーン(他のスタッフに協力してもらって)
- 営業で外回りをしているシーン
- 作業しているシーン(全体を写して)
- 作業している手元のシーン
これらは、事前に特別な準備をしていなくても、普段のお仕事の再現をするだけで撮影できるかと思います。読者に仕事の様子をイメージしてもらうために、写真撮影も工夫してみると良いでしょう。
4.魅力伝わる社員インタビューの書き方
執筆はポイントを把握するだけで、飛躍的に品質が向上すると思います。正しい情報を、正しい順番で書くことを心がけ、インタビューの成果を形にしていきましょう。
ICレコーダーで録音したデータを、文字に起こす
いわゆる、「テープ起こし」と呼ばれる作業です。ICレコーダーで録音したデータをイヤホンで聞きながら、会話の内容をテキストデータ化していきます。そのデータ化した情報をベースに記事を作っていきます。
今はいろいろと便利なツールがあるそうですが、私は未だにこのテープ起こしを簡略化するイノベーションに出合ったことがありません。もし、おすすめがあれば教えてほしいです(それくらい、この作業は時間がかかる!)。
基本は「会話形式」で書いていく
―オウンドメディアで“成功“を得るために、心掛けるべきポイントは?
やはり、記事の制作を怠らないことです。長く運用を続けていくと、つい手軽な記事を作る誘惑に負けそうになることがあるんですよ。それはよく陥りがちな落とし穴で、常に記事の品質を保つ、もっと言うと“読者ファースト”を貫くべきなんですよね。
という形が「会話形式」です。
インタビューの中で抜粋した質問と、それに対する回答をまとめていく記事体裁になります。執筆の難易度としてはこの会話形式が比較的にハードルが低く、スムーズに書いていけると思います。
導入で「どんな記事か」が明確に分かるように
小説は「結論(結末)」を最後に書きますが、web記事の場合は最初に「答え」を書いていきます。
つまり、
- この記事は何について書かれていて
- どんな悩みを抱えている人が読むべきで
- 読むとどんな知識やメリットが得られるか
を導入部分に書くようにしてください。またこれは、インタビュー記事に限ったことではありません。web記事を作る場合は、基本的なノウハウとして意識した方が良いでしょう。
また、webコンテンツの作り方は下記の記事でも紹介しています。こちらでは基本的なポイントを解説しておりますので、併せて参考にしてもらえるとうれしいです。
できるだけ中立の立場で。ストレートすぎる宣伝は極力控える
自社発信ということで、存分に魅力をアピールしたい気持ちは持っていて当たり前です。しかし、読者はそういった広告表現には敏感で、「ウソっぽさ」を察知した途端に読むのを止めてしまうこともあります。まったく書いてはいけないわけではありませんが、アピールもほどほどに。事実を並べ、それに対する考察や、想いを形にしていくことを心掛けましょう。
そして言わずもがなですが、最初に考えた「仮タイトル」にもとらわれ過ぎないようにしてくださいね。当初に決めた軸から外れるのは避けたいですが、実りあるインタビューにより、思わぬエピソードが出てくるかと思います。それらをしっかりと反映した、素敵な記事作りを意識してください。
事実確認をしっかりと。校正を入念に行う
記事が形になったら、インタビュー対象者にはもちろん、社内の複数名で回し読みを行うようにしてください。記事の構成を完璧に仕上げても「情報が誤っている」「誤解を与える表現が含まれている」場合、記事の価値は0だと言っても良いくらいです。むしろ、企業の印象を悪くしてしまう意味ではマイナスかもしれませんね。
「校正」の重要性はこちらの記事でも紹介しています。
5.社員インタビューの制作実例
社員インタビューのノウハウをご説明したところで、エディマートの制作例を紹介します。
川北電気工業株式会社様・採用サイト
インフラに関わる事業で、より良い社会づくりに貢献をする川北電気工業株式会社。採用サイトの社員紹介として、各部門の若手社員からベテラン社員まで幅広い年齢のスタッフにインタビューを行いました。
仕事内容ややりがい、印象的なエピソードを中心に話を伺いましたが、キャリア・年齢によって価値観はさまざま。入社後の自分の姿と重ね合わせられる、等身大の姿をお届けしています。
株式会社中外様・採用サイト
「製造部門」「商社部門」の2本柱を武器にグローバルなビジネスを展開する、株式会社中外。採用サイトの社員紹介として、日本人、中国人スタッフの方々をインタビューしました。
部署ごとに異なる仕事の内容とやりがいをはじめ、新人社員のフレッシュな想いや未来への展望を語っていただきました。
トヨタ販売店様・SMILE TO SMILE
トヨタ販売店の心温まるエピソードを紹介する「SMILE TO SMILE」。販売員とお客様の間で実際にあった出来事をインタビューし、コミュニケーションを大事にするトヨタ販売店の個性を打ち出しています。
「思わず涙した初めての1台」「7年の時を超えたお客様への思い」「いくつもの偶然によって生まれた出会い」など、自動車という大きな買い物ならではのエピソードが満載です。
愛知県様・あいち女性の活躍促進プロジェクト(新聞広告)
「女性が元気に働き続けられる愛知県」の実現に向けて推進された、「あいち女性の活躍促進プロジェクト」。女性の活躍促進に向けて積極的に取り組む企業として、株式会社JTB・岡谷鋼機株式会社の女性社員2名のインタビュー企画を行いました。
女性にフォーカスした企画ということで、愛知県内の大学に通う女子大生が両名の取材にチャレンジ。両名のインタビューを経て学生が感じたメッセージを併せて掲載し、取材活動そのものを学びの場として役立てていただきました。
6.執筆から外注して社員インタビュー記事をつくる方法も
ここまで社員インタビューの流れ、方法を解説しました。インタビューを外注せずに制作する場合、恐らく一番の難所は「記事を作る」のフェーズだと思います。執筆するのはスキルが必要ですし、テープ起こしもセットとなるとさらなる時間が…。
どうしても進まない際は、インタビューで録音したデータを制作会社にわたし、記事化からアウトソーシングしてみてはいかがでしょうか?「取材」という稼働を社内で対応した分、制作費を抑えることができますし、時間の節約にも繋がります。実際に、エディマートでもそういった依頼は多く、音声データからプロのライターが執筆して記事を提供しています。
個人的にですが、他社の社員インタビューの現場に立ち会うと「こんな考えで仕事しているのか」「自分の思っていた常識と違う」「職種ならではの大変さと、やりがいがあるんだな」と、発見が見つかることが多いです。
もしそういった案件をお考えの際は、ぜひお話を聞かせてくださいね。
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