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2020.02.06 Thu

インタビュー

“人を楽しませるために自分が一番楽しむ”を実践する構成作家に聞いた「人を巻き込む企画術」(前編)

こんにちは。ディレクターの水野です。

突然ですが、皆さんは小さいころに好きだったテレビ番組を覚えていますか?「ウッチャンナンチャンのウリナリ」「ASAYAN」「爆笑オンエアバトル」…。学生時代、究極のテレビっ子だった私は、当時見ていた大好きな番組の内容を今でもしっかりと覚えています。

テレビ番組は出演者、カメラマン、プロデューサーなど、さまざまな人の知恵と技術が集まって作られてます。なかでも、番組の根っことなる『企画』は、番組を面白くするための非常な重要なポイントです。もしかすると、面白い『企画』の極意を知れば、編集の仕事にも生かせるのではないだろうか…。

そう目論んだ私は『企画術』を学ぶべく、テレビ番組の根幹となる企画を作る構成作家さんに会ってきました!

今回お話しを伺ったのはこの方!

名古屋を中心に活躍する構成作家の森下ゆうじさん。

ぐっさん家(東海テレビ)をはじめ、デルサタ(メーテレ)、土曜なもんで(テレビ愛知)、笑う大須演芸場(テレビ愛知)などの番組の構成を担当。テレビ番組の構成作家として活躍するかたわら、株式会社ライオットエンターテイメントを立ち上げてさまざまな新しい取り組みをされています。

※インタビュアーであるMIZUNOは、学生のころ森下さんが手がけるライブにお邪魔をしておりました!

1.企画は自己満足では成立しない。受け手の反応を最優先に考える


MIZUNO

こんにちは!私は普段編集のお仕事をしているんですが、森下さんはテレビやラジオをはじめ、『企画』という仕事に15年以上携わってきたとお伺いしました。『企画』を考える上で、一番意識していることはあるんですか?

僕、もともと芸人をやっていたんですね。芸人って目の前のお客さんをどうやって楽しませるかを一番に考えるんですよ。その考え方は今も変わっていなくて、テレビの画面の向こう側の人にどんな顔で見てはるのかな、ということをまず考える。

森下さん

MIZUNO

編集の仕事も同じかもしれません。受け手である読者がどう捉えるのか、ということを意識して制作していますね。

喜んでもらうのはもちろん、「嫌な気持ちにならないかな~」ということも同じくらい考えますね。芸人をやっていた分、リアクションには特に敏感になっているかもしれないですね。


森下さん

MIZUNO

例えば、それがご自身のやりたいことと相反することもあるんですか?

自分のやりたいこと、見ている人に「面白い」って思ってもらえるものを作ることなので、そこは大丈夫かも。僕らはアーティストではないのでね。企画者として楽しんでもらえるものを提供したい、という思いは一貫してますね。


森下さん

2.まず、自分が前のめりになること。率先して進めることで周りも賛同してくれる


MIZUNO

実際に企画を立てて、実行するというプロセスの中で、たくさんの人を巻き込んで進めていく必要があると思うんですが、それってすごく難しいことですよね。

自分のやりたいことに付き合ってくれる子が多いのは、すごくありがたいなと思ってますね。


森下さん

MIZUNO

どんな内容であっても、いわゆるブレーンのような存在の方が周りにいらっしゃる。

そうですね。でもやってくれないこともあるんです。やってくれるとき、そうじゃないときの差は明確で。僕が心からその企画をやりたいと思っているかどうかなんですよ。


森下さん

MIZUNO

熱量は相手にも伝わる、と。今までの実体験からも言えるんでしょうか?

そうですね。やっぱり「こんなおもろいことしたくて・・・」と自分が全力で楽しんで取り組んでいることは、自然と周りも面白がって協力してくれる。例えば今日来てもらった「長者町rabbit」の立ち上げもそうで。クラウドファンディングをはじめ、ライブのシステムやスタッフを芸人さんに任せることなど、とにかく初めてのことばかりでしたが、自分のやり遂げたいという強い思いに賛同してくれた仲間がたくさんいました。


森下さん

MIZUNO

すごく共感できます。やっぱり気持ちやモチベーションは伝染する、ということですよね。

そうそう。僕も人間だから最初は全力だったんだけど、途中でちょっとモチベーションが下がっちゃうと、それが伝わってなかなかうまくいかなかったり。それで何度も失敗してきましたしね(笑)


森下さん

MIZUNO

理想を形にするのは、なかなか難しいですよね。

僕を追い抜かすくらいモチベーション高く取り組んでもらえるといいんですけどね。自分もがんばって、相乗効果で。でもそれはなかなか難しい。それができたらめっちゃいいなあ、と思います。


森下さん

取材時に見せていただいた、テレビやラジオの台本や企画書

 

3.認知度がないと選択してもらえない!まずは知ってもらうことが大切


MIZUNO

先ほどのお話しにもありましたが、本日の取材場所である「長者町rabbit」のプロデュースもされているんですよね。

“長者町rabbitとは?”

地下鉄伏見駅直結、伏見地下街にある劇場「長者町rabbit」。漫才やコント、歌、大道芸などを気軽に見てもらえる劇場を作りたい、という森下さんの思いから2018年にオープンした。クラウドファンディングを利用して開設したことでも話題に。現在では、ほぼ毎日ライブが開催されており、ドリンク代のみで楽しめるものから、東京や大阪の有名な芸人さんを招いて開催されるものまで内容は多彩。ライブ情報はTwitterにて発信中!

 

MIZUNO

誰でも立てる舞台というのが新しいですよね。

よしもと、太田プロ、ナベプロの名古屋事務所の子たち、どっかんプロ、そしてフリー。名古屋でお笑いやっている子が自由に使えたら面白いかな、ということがきっかけです。世に出るきっかけの一つになればいいなと思いまして。


森下さん

“どっかんプロとは?”

名古屋市を拠点に活動するお笑い芸人が所属するプロダクション。お笑い芸人派遣、司会派遣、実演販売師派遣、お笑いタレント育成なども行っている。


MIZUNO

場所もいいですよね。さっきからサラリーマンやOLさんが次々に通られていて。

人通りもすごく多いんですよ。お笑いって意外とライブに足を運ぶことに対する敷居が高いから、通行人にも見てもらえる環境はすごくいいな、と。


森下さん
 
MIZUNO

私たちの仕事でも、積極的ではない人に見てもらうことの難しさはすごく感じますね。興味はあるけど、行動には至らない、という人にいかに見てもらうかが難しい。

まずは知ってもらう。その橋渡しができるように、ここもそうですし、さまざまなコンセプトのライブも企画しています。その一つが「笑猿FRIDAY」です。


森下さん

森下さんが企画・運営しているライブの一つである「笑猿FRIDAY」。プロアマジャンル問わず誰でも出場することができる新しい形のライブで、今月末で34回目の開催となる。

 

4.これからは参加型ライブが主流になる!?


MIZUNO

とはいえ、運営するには集客も必要ですよね。名古屋は昔から集客が難しいとされていますが、あえて逆境ともいえる舞台で積極的に取り組んでいる理由はありますか?

ライブってものが楽しいんですよね。目の前のお客さんの反応がその場で見られて。自分も含めて周りの人たちも、やっていて一番楽しいと思ってるんじゃないかな。やりがいもすごくありますしね。


森下さん

MIZUNO

やっぱり楽しいというキーワードを、どんな仕事であっても大切にされているんですね。

あとは、舞台というエンタメ文化は古代からあって今も続いているものだから、そう簡単には廃れないと思うんですよ。ただ、やっぱり集客とか続けていくための工夫も必要だと思っていて。


森下さん

MIZUNO

ぜひ、その工夫をお聞かせいただきたいです!

ただ見て、ただ笑って帰る、というのももちろんいいんですけど、せっかく来ていただけるんだったら、来ていただいた人もなるだけ参加してもらえるような


森下さん

MIZUNO

参加型のイベント、ということですか。

そう。ハッカソンみたいなことをお笑いでもできないかな、と思っていて。例えば芸人さんのイベントをお客さんに企画してもらう。それも集客や経費とかもひっくるめて。僕らの経験値とかも話させてもらって、一緒に作っていく。


森下さん

“ハッカソンとは?”

広い意味でソフトウェアのエンジニアリングを指す“ハック”(hack)とマラソン(marathon)を組み合わせた米IT業界発祥の造語。もともとはプログラマーやデザイナーから成る複数の参加チームが、マラソンのように、数時間から数日間の与えられた時間を徹してプログラミングに没頭し、アイデアや成果を競い合う開発イベントのことをいう。企業や各種団体によって開催されることが多く、近年はIT業界以外の分野にも拡大。新しい商品やサービスの創出につなげる“オープンイノベーション”の手法の一つとして、日本国内でもさまざまな企業が活用し始めている。(以上、Weblio 辞書より引用)


MIZUNO

すごく面白そうです!お笑いファンからしたら夢のような企画ですね。

お客さんも芸人さんやスタッフの考えや舞台の裏側を知られるし、自分の考えたイベントなら次も行こうってなるかなとも思って。


森下さん

MIZUNO

それは絶対なりますね。私もぜひ参加したいです!

そのときはぜひ(笑)。お客さんはもちろん、芸人やスタッフ側にもメリットもあって。ここのお客さんって、土地柄なのか男性も多くて、色んな職業の方がいるんですよ。広告代理店の方だったりがいて、僕らも思いつかないような企画を提案してくれたり。


森下さん

MIZUNO

そうなると相乗効果で、質の高い企画が立てられそうですね。

僕ら側にないアイデアももらえたりしてね。かっこよく言うと、一緒に物語をつくる。そんな新しい形のライブが今後できたらいいな、と思ってます。


森下さん

おわりに

YouTubeをはじめ、動画やSNSなどネット社会全盛期のなかで、私の青春時代を支えてくれたお笑いという文化は日々変化していることを知ることができたインタビューでした。森下さんは自分が楽しむこととみんなが楽しむこと、を一貫して大切にされていました。それは、一お笑いファンとして、とってもうれしかったです。

また、企画という私たちの仕事にも深く関連するテーマに対する考え方は、編集者としても非常に勉強になりました!(本当にお笑い版ハッカソンが実現したらいいな…!)

つづく後編では、芸人から作家に、そして独立して会社を設立された森下さんの働き方に着目をしてお話しを聞きました。お楽しみに~!

写真:山本章貴

FUMIE MIZUNO

この記事の執筆者FUMIE MIZUNOクリエイティブ・ディレクター

大学卒業後、大手機械メーカーに就職。企画・広報業務を担当するなかで、自分自身で何かを作り上げたいという気持ちが芽生え、転職。2018年エディマートに入社する。学生時代はメディアプロデュースを専攻。放送制作を学んで、「つくる」ことの楽しさを知り、編集の仕事に憧れを持つように。現在は主にエリア情報誌の編集・ライター業務を担当。食べることが大好きで、グルメ取材が何よりの楽しみ。アイドルと猫をこよなく愛する編集者として日々奮闘中!

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