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2020.03.12 Thu

撮影

「なんでフィルムカメラ使ってるの?」プロに聞いたら、その理由が意外と深かった

こんにちは。クリエイティブ担当の須崎です。

日頃から雑誌や新聞、webなどの記事制作に携わるエディマートでは、カメラマンに撮影を依頼するケースがとても多いです。日々たくさんのカメラマンとお仕事する中、ふと気になったのがフィルムカメラの存在

デジタルカメラが主流である今の時代、フィルムを使う理由ってなんだろう?私も趣味では使ったことがあるけど、なんとなく「アナログいいな」とか「ナチュラルな仕上がりになりそう」みたいなイメージ。でも仕事で使う理由ってそんなことなのか?

というわけで、今回はプロカメラマン、古川義高さんのフォトスタジオにおじゃまして、疑問をぶつけてきました!古川さんは実際にフィルムカメラを仕事でもガシガシ使っていて、いつもおしゃれで斬新な写真を撮ってくださるんですよ~。

今回お話を聞いたのは… 

カメラマンの古川義高さん

愛知県生まれ。 雑誌編集者、広告写真スタジオ勤務を経て2009年に独立。 2014年 プロダクションY’SC に所属する。 2018年 VACANT原宿にて個展「考える花」を開く。 2018年 Y’SC を退所し独立。 ​2019年 名古屋本郷にて個展「SWIMMING POOOL」を開く。​ ​現在は愛知と東京を拠点に、写真家として活動。​

1.プロカメラマンが撮る写真に“偶然”はない!


SUZAKI

こんにちは!今日はフィルムカメラに関する疑問を解決したくて、やってきました。よろしくお願いします!

ようこそいらっしゃいませ!僕に答えられることであれば、何でもお答えしますよ~。


古川さん

SUZAKI

ではさっそく本題に入りますが、古川さんはお仕事の際にデジタルカメラとフィルムカメラを使い分けていますよね。

はい、そうですね。両方使っています。


古川さん

SUZAKI

ずっと気になっていたんですが、デジタルカメラが主流の今、どうしてフィルムカメラを使うんですか?フィルムだとフィルム代や現像代などでランニングコストもかかるし、現像が仕上がるまでに時間もかかりますよね。それにデジタルと違ってどう撮れているかすぐに確認できない不安もあるし、正直デメリットのほうが多く感じてしまうけど…。

確かにお金と時間はかかります。けど、プロカメラマンがフィルムを使う時、どう撮れているかは撮影時にちゃんとわかっているので不安はないですよ。この明るさで、この光の向きで、このレンズで撮ると、こう写るってのが、カメラマンにはわかっているんです。


古川さん

SUZAKI

た、確かに…!そりゃあプロですもんね。私の子どものころはフィルムが主流だったから、「どんな風に現像あがってくるかな」「ちゃんと撮れてるかな」って、現像を待つ時間も楽しかった記憶がありますが、よく考えたらそれ素人視点でした!

もちろん、自分がイメージしたものと違う絵が撮れるとか、自分の想像を超えた可能性が見られるってところに、一般的なフィルムの魅力があるとは思います。けどプロが「あ、こんなん撮れてた、ラッキー!」なんて言ってたら、困りますよね。(笑)

古川さん

SUZAKI

不安になります(笑)。

基本的には、プロが撮るものに“偶然”はないと思います。だから「現像が楽しみ~」というプロは少なくて、「よし、イメージ通りの像が撮れているな」って感覚なんじゃないかと。

古川さん

SUZAKI

撮る前からイメージができているんですね。

そうですね。イメージと、それを再現する技術を持っているから、偶然いいものが撮れるということは起こらない。今回は仕事の話だから、プロということを前提に話していこうかな。

古川さん

2.フィルムとデジタルの違いは仕上がりじゃない?


SUZAKI

そもそもフィルムカメラとデジタルカメラで撮った写真の大きな違いって何ですか?

実は今のデジタルカメラってすごく進化しているから、フィルムのトーンに近いものも撮れます。もちろん決定的な差はありますが、素人目にはあまりわからないんじゃないかな。

古川さん

SUZAKI

え?アウトプットに差はないってことですか?

単純に色味とか、ラティチュード(再現できる明暗の幅)の広さに違いはありますが、それより僕はプロセスの違いが大きいと思っています。フィルムとデジタルでは撮るまでの過程が違うから、同じものを撮ったとしても角度とかフレームの中にあるものとか、写っているものが変わってくるんです。


古川さん

SUZAKI

プロセスが違う?写るものが変わる?うーん…どういうこと?

潜像(せんぞう)と顕像(けんぞう)って言葉があって。潜像は肉眼で見ることができない像のこと。フィルムカメラは、シャッターを切り、フィルム面に像が露光されても、その時点では像は見えないんだけど、その後フィルムを現像して紙に定着させることで見えるようになる。そういう潜像の状態を経ることが、フィルムの大きな特徴だと思います。


古川さん

SUZAKI

逆に、肉眼で見えるのが顕像ってことでしょうか。デジタルなら、液晶画面やタブレットなどを使って、顕像を現場で見ることができますね。

潜像と顕像のイメージ図。海から出ている部分の氷山が「顕像」、海に隠れている部分の氷山が「潜像」

ディレクターやクライアントなどが、撮影した写真を現場で見られるかどうか、ということが、実は仕事において仕上がりにとても影響します


古川さん

SUZAKI

そっか。カメラマン側じゃなくて、依頼している側にとって、その場で確認できるかどうかは大きな違いですね。

だからフィルムとデジタルでは、写真が完成するまでの過程が違ってきます。もちろんフィルムでも、ポラを切って構図やなんとなくの雰囲気を見ることはできるけど、デジタルカメラの視認性と比べるとあってないようなもの。

こういったプロセスの違いで何が生じるのかというと、フィルムは現場で確認がしづらいから、カメラマンの色がより出やすくなる。反対にデジタルはディレクターも一緒に確認しながら撮影を進めることができるから、ディレクターの狙いを反映させやすくなります


古川さん

SUZAKI

じゃあディレクターや関係者と絵を細かく調整する必要がある時とか、その場でクライアントが見たいという場合は、デジタルを使ったほうがいいわけですね。

そういうことですね。


古川さん

「ポラを切る」とは

フィルムカメラが主流だった時代、商業写真の撮影では本番前にインスタントカメラでテスト撮影をするのが普通で、そのことを「ポラ(ポラロイド)を切る」と言っていたそうです。「ポラロイドカメラ」はインスタントカメラの先駆けであり、代名詞にもなっています。

「インスタントカメラ」とは

撮ったその場ですぐに現像できる画期的なカメラとしてかつて注目を集めました。デジタルカメラの普及により需要は減りましたが、最近またチェキなどが若い人に注目を浴びているようです。

ディレクターの想像を超えるためにフィルムを選択


SUZAKI

ディレクターである私の視点で考えると、撮れてる絵を確認しながら撮影を進められたほうが安心だなーと思ってしまうので、まだフィルムを使うメリットがピンときていないのですが…。

例えば「りんごを持った女の子の写真を撮りましょう」ってなった時、まず想像しますよね。でもみんな思い浮かべるものは違うはず。撮影するにはそのみんなの違うイメージをすり合わせる行為が必要になるので、共有するために話し合いがたくさん行われます


古川さん

SUZAKI

手に持っているのか、見つめているのか、はたまた収穫しているのか。りんごをどんな角度で見せたいのか。雰囲気は明るいのか、暗いのか…。

そうそう、いろんなシチュエーションが浮かびますよね。カメラマンとともに、ディレクター、ヘアメイク、スタイリストなどのイメージも一緒に話し合われるからおもしろいものが生まれることもありますし、オリジナルになりやすいと思います


古川さん

りんご✕女の子のイメージ


SUZAKI

デジタルだと撮ったものをその場で確認できるから、イメージを話し合うより、具体的な指示になっちゃいますね。「もうちょっとこっちからの角度で」とか。

「ここが見えてないからもう少し見えるように撮って」とか。観念的な話をしなくなる傾向にありますね


古川さん

SUZAKI

なんだかディレクターが具体的な絵づくりをしてしまいがちかも…。

もちろんそれは全く問題ないですよ。ディレクターのイメージを現実に取り出すような撮影はよくあるので。

今から話すのは、あくまでディレクターがカメラマンの色を求めている場合。そういった撮影の時は「抽象的な言い方でいいので求めているものを教えてください」と聞くようにしています。暖かそうな感じとか、雨の日みたいにだとか、そういうことから互いの頭の中のイメージをすり合わせる。まあ、これはデジタルでの撮影時にも言えますが、話し合いの頻度としてはフィルムのほうがかなり多いですね。


古川さん

SUZAKI

アウトプットではなく、プロセスが大事。ってことは、チーム感やコミュニケーションみたいなものが関わってくるんでしょうか?

見えないと話さなければいけないですよね。フィルムだとカメラマンの色を出しやすいってさっきは言ったけど、相性がいいディレクターだと、頭の中ですり合わせるほうが、「想像してたのと違うけど、もっとおもしろい!」っていう絵が生まれることもあるんですよ。そういう意味ではフィルムの偶然性みたいなものは存在していますね。


古川さん

SUZAKI

偶然撮れるということではなく、お互いのイメージをすり合わせることで偶然おもしろい絵にたどり着く可能性が、フィルムにはあるってことですね。

偶然っていう言葉でいいのかわからないけど…。


古川さん

SUZAKI

化学反応的なことですか?話し合ってイメージをすり合わせることで、新しいものが生まれる。

化学反応…、う~ん。いや、化学反応以外の何かいい言葉を言ったことにしておいて(笑)。


古川さん

SUZAKI

え~…。じゃあ「ディレクターの想像の範囲を超える」ということで!

写実性が求められる時はデジタルカメラで

デジタルカメラは、現実を再現する能力、つまり写実性に長けている反面、抽象的に撮るには工夫が必要になります。


古川さん

SUZAKI

じゃあ、撮りたいものそれ自体を正しく見せたい時は、デジタルが向いてるんですね。

そうです。例えばセーターを正しい色で撮りたいとか、陶磁器の質感を表現したいとか。そういう場合はデジタルが有利ですね。でもまあ、ものすごく大きな差ではないけど…。


古川さん

SUZAKI

結局アウトプットの差はないってことですか(笑)。

芸能人の撮影でフィルムが有効的な理由


SUZAKI

よく撮影していただく芸能人インタビューの時は、これまでフィルムを使うこともけっこうありましたよね。

それはまず、僕とSUZAKIさんの信頼関係があるっていうのが前提にあるけど、大体の場合、撮影時間がかなり短いという理由が大きいですね。


古川さん

SUZAKI

確かにインタビューと撮影あわせて20〜30分くらいってことがほとんどだから、撮影は5〜10分でお願いすることが多いですね…。

クライアントチェックが必要ない場合だと、フィルムで撮れば誰も画面を確認できないので、その時間が省けて、いろんなバリエーションを撮る余裕が生まれます。確認できないとなると編集者にとっては心配かもしれないけど。


古川さん

SUZAKI

心配はしてないですよ(笑)。いつも撮る前に、どういう感じにしましょうか?っていうすり合わせをしていますしね。バリエーションが多くて選べるのはありがたいです。

あと、芸能人にはカメラ好きの人も多くて、フィルムカメラだと「おっ」って反応してくれることもあるから。


古川さん

SUZAKI

星野源さんも、興味持ってましたもんね。

そうそう。それでカメラをのぞいてくれた瞬間の表情が撮れたりもしましたし。フィルムカメラは、退屈な撮影にならないように刺激を与えるという意味でも活躍してくれます。


古川さん

SUZAKI

確か木村拓哉さんの時はデジタルで撮ってましたね。やっぱり現場にいる関係者の方が多いから、その場でみんなが確認できるようにっていう理由ですか?

あれは、僕が雰囲気に飲まれてたっていうのもあります(笑)。一緒に確認してもらってOKと言ってもらいたかった。


古川さん

SUZAKI

なるほど(笑)。気持ちはわかります。

SUZAKIさんも、30人くらいの関係者に囲まれている中で、木村さんと一対一でしゃべってて、かわいそうだなって思いましたよ(笑)。


古川さん

SUZAKI

緊張感がやばかったですよね…。

3.コンセプトにあわせて使い分ける


SUZAKI

デジタルは周りの人と像を共有しながら進めるために使うってことは、古川さん的には自分でイメージができてるから、どの撮影も基本的にはフィルムでいいわけですよね?

今じゃデジタルとフィルムの仕上がりの差はわずかですからね。コンセプトが大事だと思うから、ディレクターが何を表現したいのか、というところから考えて選ぶようにしてるかな。


古川さん

SUZAKI

そっか。古川さんはどんな場面でもフィルムで撮影したい、フィルム好きカメラマンという認識でした。すみません!

まあ、好きに選んでいいって言われたら、大抵フィルムを選びますね(笑)。でも僕が開いた「SWIMMING POOOL」という個展では、自分の作品だけどデジタルカメラで撮りましたよ。


古川さん

「SWIMMING POOOL」とは

2019年4月26・27日に名古屋で催された古川義高さんの個展。


SUZAKI

え?フィルム好きの古川さんが?自由に選べるのに?

そう(笑)。なぜかというと、この作品では、社会性やポリティックス、その閉塞感や閉所恐怖みたいなものを表現したかったから、自由なフィルムではなくあえてデジタルカメラを使いましたコンセプトにあわせてカメラを選んだ、ということ。


古川さん

個展『SWIMMING POOOL』で展示された作品のひとつ ​©︎ Yoshitaka Furukawa


SUZAKI

フィルムのほうが自由って感じるんですね。

デジタルはその場で確認できる分、気を付けていても顕像に影響を受けてしまうんです。フィルムでの撮影は頭の中と現実をつなげる作業なので、被写体と1対1で向き合えて、影響を受けるものが少ないといった意味で、自由に撮れる感覚。


古川さん

SUZAKI

えっと…つまり画面確認をしない分、撮影だけに集中できるって感じでしょうか。まあとにかく仕上がり云々より、コンセプトが大事という話ですね!これからプロになりたいという若い人には特に。

若い人たちの中で、フィルムで撮るカメラマンってけっこう増えてるんだけど、みんな写真が似てるように感じています。もちろん優れた例外はたくさんありますが、傾向として。


古川さん

SUZAKI

それはどういう現象なんでしょう?

オートで撮影するコンパクトカメラの流行や、撮影時にコンセプトが曖昧だったりするからかな。自分たちの生活を切り取った、みたいな写真が多いように思います。みんなで気軽に共有できるSNSの影響もあるのかも。


古川さん

SUZAKI

一枚一枚の写真にはちゃんとストーリーがあって、ツールのひとつとしてフィルムカメラがあるということなんですね。

そう、選択肢のひとつ。それは何の選択肢かというと、仕事であればディレクターが求めているものを再現するための道具としてのです。カメラを自分の個性を出すための道具として見ていたり、そもそも求められたものを表現するスキルがなかったりすると、「あなたの好きなトーンで好きに撮ってください」っていう仕事しか頼まれないんです。


古川さん

SUZAKI

仕事で撮る、いわゆる商業写真は、アート作品を撮るのとは違いますしね。ディレクターが求めるものを再現するっていうのが大前提。それがプロの仕事ってことですね。

その土俵を出ることはないですね。まず何を撮るのか、そしてそのためのカメラという道具があって、仕上がりが存在するのだから。


古川さん

SUZAKI

ちなみに納品した写真に対して、「お願いしたイメージと違うんだけど」って言われることはないんですか?

イメージと違うってのは少ないけど、「粒子が強い」って言われることはあります。ちょっとでも暗く撮っちゃうと粒子は入りますからね。


古川さん

SUZAKI

粒子…。それだ!フィルムってざらっとしたような、ふわっとした柔らかいような仕上がり、という印象があります。それって粒子が目立つからですよね。デジタルとフィルムの仕上がりの差、あんまりないって話でしたけど、粒子はけっこう大きな差では?

そう言われたらそうですね(笑)。デジタルで粒子感を出したい時は、ISO感度を上げるとか暗く撮るとか方法はあるけど、フィルムの粒子感とはまた違います。


古川さん

「フィルムの粒子」とは

フィルム写真は丸い粒子、デジタル画像は四角いドットが集まってできているので、フィルムプリントとデジタルプリントはまったく別物と考えるべき。丸い粒子によって生まれる柔らかい印象が、フィルムの好まれる要因のひとつでもあるようです。

フィルムは暗い場所で撮影すると特に粒子が強く出やすいが、デジタルでは出せない柔らかさがある


SUZAKI

デジタルで粗いと、単純に画質悪いから高解像度のデータ欲しいなって思っちゃう(笑)。

そもそもカメラの歴史を見ると、誰でもシャッターを押すだけできれいに撮れるように、レンズの構造を追求したりフィルムの性能を上げたりして、技術が向上してきたんです。フィルム時代から活躍されてきたディレクターには、今の時代にそういう粒子の強い写真を撮ると、ただの懐古主義じゃないのって言われることもありますよ。


古川さん

SUZAKI

少なくとも古川さんの場合は、そこに魅力を感じているわけではないですもんね。でも粒子が強い写真は、人によっては「なんでこんな古い感じの写真なの?」って思う人もいるでしょうし、若い人の目には新鮮に映るのかも。

だからフィルムカメラのことを理解してもらえなさそうな相手には、提案しないようにしています。


古川さん

SUZAKI

理解してもらえないなら、せっかくコストかけて撮っても無駄になっちゃいますしね。

仕事といってもいろんなシチュエーションがあって、ディレクターと画面で共有したほうがいい場合はデジタルを選ぶし、ディレクターのイメージを再現するために、あえて画面で共有しないフィルムを選択することもある。突き詰めればフィルムでしか出せない100点の像がありますからね。


古川さん

SUZAKI

そうやってデジタルとフィルムを使い分けている、と。

もちろんデジタルでしか出せない像もあるから、ひとことで説明するのは難しいけど、潜像を通ることで生まれる、つまりフィルムでないと実現できないものがあるってことです。


古川さん

SUZAKI

だから古川さんは、フィルムカメラを使っているわけですね。

4.番外編:フィルム撮影での失敗談&気を付けたいこと


SUZAKI

フィルムならではの失敗エピソードもぜひお聞きしたいです!

いまそこで僕らを撮影してくれてる松本元希さんと仕事した時、撮影済みのフィルムをもう一回カメラに入れて撮っちゃってさ…。あれは幻想的な仕上がりになったよね(笑)。


古川さん

多重露光ってやつね。まあそういうのは求めてなかったから、もちろん再撮だったけど。って、このインタビュー、僕もしゃべっちゃっていいんですか?


元希さん

SUZAKI

かまいませんよ(笑)。読んでる人が混乱しないように、プロフィール差し込んでおきますね。

それはご親切にどうも(笑)。僕も古川くんみたいにインタビューされたいんだけど。


元希さん

SUZAKI

それは、えーと…ごめんなさい!またの機会にぜひ!

 
今回インタビュー写真を撮ってくれたのは…

ジオットの松本元希さん

モデル事務所であるジオットで2012年にクリエイティブセクションを立ち上げ。ウェブサイトの企画・編集や各種広告物の制作・デザイン、写真撮影やムービー制作など、あらゆるクリエイティブに携わる。

「多重露光」とは

ひとコマの写真に複数の写真を重ね合わせていく撮影テクニックのこと。非現実的な写真が撮れます。狙って撮ったわけでなければ、ただの失敗写真。

その失敗は、まだ独立したての頃で、仕事でフィルムを使い始めたばかりだったんです。当時はフィルムのほうが格段に色が良かったので。中判カメラで使うブローニーフィルムなんかは、一般的な35mmフィルムと違って詰めるだけでも苦労してましたね。


古川さん


SUZAKI

ほかに失敗しがちなことって何でしょう?

空撮りですね。シャッターをチャージする時の重さと音でフィルムが入っているかどうかわからないと、フィルムを入れ忘れて撮影してしまったりするんです。


古川さん

SUZAKI

まだフィルムが主流だった時代の失敗エピソードで、それ聞いたことあります。

あとは、レンジファインダーでキャップがずっと付いたまま撮ってたとか。


元希さん

SUZAKI

意外と多そう、そのミス。現像したら何も撮れてなかった…っていう最悪なパターンですね。

 

「レンジファインダーのカメラ」とは

撮影用のレンズとファインダーが別になっているカメラで、キャップをしても一眼レフのようにファインダーがブラックアウトしない。


SUZAKI

元希さんも、フィルムカメラ使ってるんですか?

今はデジタルばっかだけど、カメラを始めた頃は、カメラの構造を頭にたたきこむためにフィルムをまず覚えましたよ。


元希さん

SUZAKI

じゃあこれからカメラを始めたい人におすすめですね。

そうですね。カメラの構造を理解するという意味では、オートで撮影できる機構がない機械式のカメラがおすすめです。露出計がついていないほうがよりいいですね。


古川さん

SUZAKI

私が一度カメラマンさんから借りて、使いこなせなくて断念したやつだ…(笑)。

(笑)。デジタルカメラだと、画面で確認しながら簡単に自分のイメージに近づけちゃうけど、フィルムだと、まだ使いこなせないうちは自分の想像していない偶然の写真がいっぱい生まれます。なので、「これはどうやって撮ったんだっけ?じゃあ、これを撮るにはこうすればいいのかな?」っていう試行錯誤がトレーニングになると思います。

そうやって練習する中で、一生かかっても撮れない素晴らしい一枚が偶然に生まれる可能性があると思うと、フィルムっておもしろいですよね。


古川さん

SUZAKI

今回はフィルムとデジタルの違いから、カメラマンにとっての必要な技術仕事における写真に対する考え方など、いろいろ発見のあるお話が聞けました!古川さん、そして元希さんも、どうもありがとうございました!

5.終わりに

フィルムとデジタルの違いって、まあ仕上がりにあるんだろうなと思いつつインタビューを始めたら、実はそこは大きな問題ではなく、撮影するまでのプロセスが大きく違うというお話でした。私のような写真撮影を依頼する立場の人にとっても、これからカメラを始めようと考えている人にとっても、きっと意義のある内容になったのではないでしょうか。

インタビュー後、改めて古川さんにフィルム撮影でのディレクションを体験させてもらいました!こちらからは、架空のバンドのCDジャケット撮影を依頼。「コップ」という曲のCDジャケット用の写真というお題で、撮影してもらった写真をいくつかご紹介。

撮る前に、「コップはどのくらい見せたい?」「コップとわかれば全部写ってなくてもいいです」とか、「温かい感じ?それとも冷たい?」「温かい感じで、人の存在感も出したいです」とか、そういった話し合いを経て、いろいろ撮っていただきました。

「イメージ通り!」だけでなく「そういう写真もありか!」といった驚きや気づきもあり、自分の頭の中だけで完結するよりももっと良いもの、新しいものに近づける感覚が楽しかったです。

今後、私自身も“編集のプロ”と“写真のプロ”のやり取りを意識して、仕事に臨みたいという思いが増しました。皆さんもぜひフィルム撮影の現場を体験してみてくださいね~。

 

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MICHIKO SUZAKI

この記事の執筆者MICHIKO SUZAKIクリエイティブ・マネージャー

関西大学在学中、カンボジアの少年と出会ったことをきっかけに、無関心を卒業すべく17か国をめぐる地球一周の船旅に出る。知ることの大切さと伝えることの難しさを感じ、編集という仕事を志すことに。2009年エディマートにアルバイト入社し、4カ月後に正社員に。主にエリア情報誌(飛騨高山と伊勢志摩が得意!)や新聞広告、子ども向け新聞などの編集・ライター業務に携わる。なかでも映画関連の俳優・監督インタビューと、国内外問わずカメライターとしての旅取材経験多し。九州生まれ。

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