2019.07.31 Wed
編プロのデザイナーってどんな仕事?エディトリアルデザイナーに必要な知識や経験
こんにちは。デザイナーの田中です。エディマートに所属するのは雑誌などの編集者が大半ですが、デザイン業務に携わるスタッフが2名在籍し、主に雑誌や新聞の記事広告をメインに制作するエディトリアルデザイナーとして日々業務を行っています。今回は編集プロダクションで働くデザイナーに必要なスキルについてまとめました。
目次
1.そもそもエディトリアルデザイナーって何?
雑誌や書籍のデザインをするのが仕事です
雑誌、書籍など、複数ページにわたる冊子のデザインを手がける職業を「エディトリアルデザイナー」と呼んでいます。編集者からの指示をもとに冊子全体のレイアウト構成を考え、文章や写真の配置などを工夫し、より読みやすい誌面に仕上げることが目的です。雑誌や書籍、新聞はもちろん、カタログやマニュアル、パンフレットなどの制作にも当てはまるでしょう。読者の立場に立って視線の流れを設計し、文字組みを考えた上で、より良いデザインにすることが求められます。
また製本や紙の種類、印刷の知識も必要です。近年では制作した媒体を電子書籍として出版するケースも多いので、印刷以外にもWebの知識が求められる場合も出てくるでしょう。
2.グラフィックデザイナーとの違いは?
一方で、グラフィックデザイナーとは
エディトリアルデザイナーとは別に、グラフィックデザイナーという役割もあります。グラフィックデザイナーとは、広告やポスター、商品パッケージなど商品の宣伝や販売に関わるデザインを手がける職業のこと。クライアント(発注主)の企画趣旨に沿って、ターゲットに相応しいデザインを制作します。企業内の広報系部署に所属するほか、デザイン会社や広告制作会社で勤務するのが一般的。なかには、エディトリアルデザイナーとグラフィックデザイナーを兼ねる人も多くいますよ。
編集プロダクションで働くデザイナーは、エディトリアル業務の割合が必然的に高くなることが一般的。グラフィックデザインは、単体で目を引くようデザインしたものが多くみられますが、エディトリアルデザインは複数ページにまたがる冊子全体の流れを意識するため、デザイン力とは別に編集スキルも求められます。
3.エディトリアルデザイナーになるためには?
必要な資格は特にないが、制作ソフトのスキルは必須
必要な資格はありませんが、Adobe Systems(アドビ システムズ)のIllustrator(イラストレーター)、Photoshop(フォトショップ)、InDesign(インデザイン)など制作ソフトのスキルは必須。独学より専門学校などで習得するほうが、良し悪しの判断をする第三者がいるため成長が早いかもしれません。
未経験からスタートする場合は?
もしも未経験から始めるなら、まずはアシスタントからスタートします。フォーマット化されたデザインへのテキストの流し込みや、画像の処理、グラフの作成など誌面の一部の制作から。続いてページ全体のデザインを担当し、最終的には冊子の顔となる表紙のデザインや、冊子全体のアートディレクションを任せられれば一人前。そのためにはレイアウトや文字組みのスキルのほか、編集や写真、校正、印刷など冊子に関わるさまざまな必要な知識が必要です。
エディマートの場合、前職で折込広告のデザインをしていたスタッフは編集未経験で入社しましたが、デザインと編集業務を兼ねてチーフデザイナーとして活躍しています。
4.エディトリアルデザイナーに向いている人って?
相手への思いやりが大事!
雑誌や書籍が好きなのはもちろん、相手に情報を正しく「伝える」ことができ、さらに相手からの情報を正しく「汲み取る」ことができる人が向いていると思います。例えばクライアントから「タイトルを赤色にする」という指示があった場合、どういう意図なのかを考えます。文字通り「赤色」にしたいのか、「目立たせたい」のか、「なんとなく違う色にしたい」のか、これを見定めるのが腕の見せどころ。最終的に伝わるのは違う色ではないか、あるいは手法を変えて目立たせるのかを試行錯誤し、言葉の裏側に秘めた思いを形にしていきます。
- 本当に「赤色」がいい
- 目立つのなら何色でもいい
- 今の色はしっくりこないけど、他の色が思いつかない
またデザイナーというと感覚やセンスに頼った仕事と思われがちですが、論理的な視点も大切。文字や写真などの情報を分かりやすく整理し、デザインを通じて読者に伝える手助けをします。もっとも大事なのは読者への思いやり。自分のセンスを披露するのではなく、読者に寄り添った視点を持つことが大切です。
コミュニケーション能力も大切なポイント
さらにクライアントや編集者、カメラマン、イラストレーターなどさまざまな人と共同で誌面づくりを行うため、コミュニケーション能力も不可欠。スムーズな意思疎通ができれば、どのような思いを伝えたいか自ずと見えてきます。そして100ページ以上にも及ぶ冊子を制作することもあるため、ミスのないよう細部に気を配りながら、根気強く作業に向き合う能力も見過ごせません。また、締め切り前には残業が発生することもしばしば…。集中力と体力も必要です。
4. 最後に
「職業はデザイナー」というと、「すごい!」とか「おしゃれー」と言われますが、実際おしゃれな部分はそれほどなく、常にパソコンに張り付き、頭痛と肩こりに悩まされる毎日(笑)。締め切りに追われながらも涼しい顔で対応し、掲載までは誤植がないかビクビクしています。しかし実際に完成した制作物が世に出回り、リアクションを聞くことができる達成感のある仕事です。手応えが実感できる、苦しくも面白い職業だと思いますよ。
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