2021.04.23 Fri
新聞デザインの基本。モノクロ画像を目立たせる方法とは?
新聞の紙面といえばモノクロをイメージすることが多いのではないでしょうか。エディマートでは主に「記事広告」と呼ばれる広告を制作しており、多くはカラー原稿ですが、モノクロ広告も手がけています。色が使えない分、紙面内で目立たせるのは難しく、モノクロ原稿ができて一人前と言われることもあるとか…。
今回はモノクロでも目を引く、新聞広告デザインのポイントをまとめました。
目次
1.モノクロ広告で引き立たせたいテキストは、白か黒でハッキリと
飾りや袋文字などのあしらいで目立たせよう
モノクロ原稿はスミ1色だけで表現するので、目立たせたい部分はメリハリをつけて表現することが必須です。例えば企画タイトルや社名、商品名などは、グレーを使うとぼんやり見えてしまうこともあり、使う頻度は少なめ。スミ100%または白ヌキ文字で、メリハリをつけてデザインします。袋文字にしたり、ベタを敷くなどをして目を引くようにあしらうこともあります。
上のようなリストなどの項目に付ける「●」や「■」のマーク。カラー原稿(4色)ならば色を変えるだけでポイントになりますが、モノクロでは色が使えない分、目を引くアイコンに変えるなど、ひと手間加えることも。モノクロ原稿では、スミ1色でも目につくような工夫があるといいですね。
カラー原稿をモノクロに変換するときは、「グレースケールで変換」にひと手間加えてみよう
「提供されたカラー原稿をモノクロに変えて」、というオーダーもよくある話です。アドビのソフト・イラストレーターにある[ 編集 > カラーの編集 > グレースケールに変換 ]の機能でモノクロに変換すると、カラーで制作したパーツの「色の濃さの情報」だけが残るため、元の色によっては微妙なグレーになってしまいます。もうひと手間加えて、ブラッシュアップしてみましょう。
上記のようにエリアを色分けしている場合、意図を損なわないのであれば同じ色にしたほうが仕上がりはキレイです。カラー原稿での意図を読み解き、情報が正しく伝わるようメリハリをつけて調整します。
また、カラー原稿で目立つ色とされるM100%Y100%、いわゆる「金赤」は、グレースケールで変換するとK70%になってしまい、ぼんやりした印象に…目立たせるという本来の意図に沿うならば、K100%にしたほうが目につくでしょう。
もちろん修正して大丈夫かどうかは案件ごとに異なりますので、発注主に確認してくださいね。
2.モノクロ広告の写真は、4色の印象を損なわないように変換
グレースケールにする前に、コントラストを強めに補正
モノクロ写真のレタッチをする場合、多くはカラー写真からモノクロに変換をすると思います。まず始めにしておきたいのが、コントラストを強めにしておくこと。前述の通り、モノクロにすると「色の濃さの情報」だけが残ります。カラーの状態でメリハリが出るように補正をかけてからモノクロにしましょう。
上にある名古屋城と桜の写真。カラーの状態でコントラストを強めにしてからモノクロにすると、空が明るくなり、城の輪郭がハッキリとしてより荘厳な印象に仕上がります。また、桜も満開な雰囲気が伝わるのではないでしょうか。
色調補正の白黒ツールを使って補正してみよう
フォトショップでも、イラストレーターと同じく[ イメージ > モード > グレースケール ]の機能があり、これを使えば簡単にモノクロになりますが、もう少しメリハリのある、印象深い写真に仕上げてみましょう。
使うのは[ イメージ > 色調補正 > 白黒 ]のツール。「自動補正」のボタンを押せば、自然なモノクロ写真に一発で変換できます。写真自体が持つカラー情報が保持されたまま、作業上だけがグレースケールになるため、“元”赤色だけ色を濃くする、“元”緑を明るくするなどの細かな調整が可能です。
例えば上の写真。「グレースケール」の方法でモノクロに変換すると、花と背景が同化して何を伝えたいかが不明瞭になってしまいますね。赤と緑はモノクロにしたときの「色の濃さ」がほぼ同じなので、このようにな結果になります。
下は「色調補正」でレッド系とグリーン系を調整し、メリハリをつけた写真。花の色みを立たせるだけで、色はなくても華やかな雰囲気が伝わります。
また、人の顔色にも注意しましょう。カラー写真で影になっている顔色は、色の情報では茶色と判断されます。このままではモノクロにしたときも濃い色になってしまい、表情が沈んだ印象に。顔色に含まれるレッド系とイエロー系は明るめ、影となるブルーとブラック系を抑えめで補正してみましょう。
ただし、写真自体が持つカラー情報は「RGB」もしくは「CMYK」のままなので、レタッチが終わったら[ イメージ > モード > グレースケール ]でグレースケールにしておくのを忘れずに。
3.新聞広告では、ドットゲインに注意
モノクロもカラーも明るめに仕上げるのがポイント
ドットゲインとは、インキ一つ一つの小さな点(網点)が印刷の工程で潰されて大きく見える現象を指します。新聞は短時間で大量にインキが乾燥できる「浸透乾燥」という印刷方法のため、印刷時に網点が大きくなってしまう現象が起こりやすいのです。
ドットゲインが大きいと、薄い色が思いのほか濃い色で印刷され、場合によっては暗めに見えてしまうことも。これはカラー原稿でも言えることですが、新聞ではドットゲインが大きくなりやすいことを踏まえて、明るめに原稿を制作をすることがトラブルを生まないコツと言えます。
4.当社で制作したモノクロ原稿の実例
中日新聞・みんなで考える大学特集
☆面積の大きい企画はメリハリをつけることが大切
大学入試を控える高校生のために、入試の展望と対策を伝える企画。面積が大きい企画は、読み進めやすくするためにデザインでも動線を工夫する必要があります。
本企画ではタイトルにK100%のベタを敷き、“ここが企画の起点”ということをアピール。また、人物が多く登場する写真では、黒髪の色がつぶれて、一体化しがちですが、コントラストに気をつけ、人と人がきちんと見分けられるようにしています。
中日新聞・藤井王位記念グッズ販売告知
☆カラー画像の印象を損なわないようにグレースケール化
グッズの下に敷いている繊細な和柄の背景は、もともとは4色画像です。こちらをそのままグレースケールにかえると柄の出方が悪くなるため、カラーの状態でメリハリが出るように補正をかけてからモノクロ化。
また、主役はグッズであるため、グッズそのものが引き立つように影を落とすなどしてメリハリをつけました。
中日新聞・『蜜蜂と遠雷』イベント告知
☆色が限られる分、あしらいを工夫して企画イメージを訴求
ピアノコンクールを舞台とした青春群像映画『蜜蜂と遠雷』。ピアニストたちの繊細な心情を描く作品のイメージをモノクロ原稿で伝えるために、映画に関わる鍵盤のあしらいを加えています。前述のように、色で伝えられる情報が限られるため、アイコンなどに工夫した一例です。
また、左に配置している鍵盤の写真も、黒鍵の一つひとつがしっかりと見分けられるように補正しています。
5.最後に
いかがでしたか?
スミ1色のモノクロ原稿でも、工夫次第で見やすさが向上し、カラーのような表現力をもたせられることが伝われば幸いです。
新聞原稿だけではなく、書籍の本文でも多用される1色刷り。こちらのノウハウをいろいろな場面に応用していただければと思います。
当社では、15年以上にわたる新聞原稿の制作実績があり、さらに近年は、書籍の制作から出版までワンストップで対応させていただいております。1色刷りはコストダウンの面でもメリットがありますので、「コストを抑えながら制作をしたい」ときにも、お気軽に当社にご相談ください。
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