2020.04.08 Wed
育休中にテレワークで働く。デザイナーの仕事で“やれる”こと、“やれなかった”こと
突然ですが私は、2015年から2回の育児休業(以下、育休)を取得しました。最初の育休は長子の2015年から2017年まで。その育休期間中、内勤型テレワーク(在宅勤務)でデザイナーとして仕事復帰を果たしています。
その上でひとこと…。
「育休中でも仕事はできます!」
育休中のテレワーク経験を経て、そう強く思えるのにはいろいろと理由があります。「1歳児を育てながらどうやって仕事をするの?」「他のスタッフに迷惑かけそう…」「育児休業給付金はどうなるの?」といった心配、抱いていないですか?今回は、そのような疑問すべてお答えしたいと思います!
目次
1.なぜテレワークでの仕事復帰を選んだのか
出産前は仕事を続けるか、迷っていました
出産前までは働くことが最優先だったこともあり、仕事に影響が出ないように結婚後もなるべく“出産は後回し”に。2015年にこどもを授かったときも、不妊治療を経ていたため喜びの反面、社会との接点が一時的になくなることへの強い不安は拭えませんでした。「このまま同じ仕事を続けるか」、「別の仕事を選択するのか」、「思い切って専業主婦になるか」…、さまざまな選択肢を考えていたと思います。ですが、退職の2週間前、会社から「産休・育休」取得の提案をしてもらい、いったんは産休・育休を経て復帰することで応諾しました。
産休に入った当時は、会社勤めと育児を両立している同職種の“お手本”となる人がおらず、自分の働き方についてどうするのがベストか悩む日々。ただ、一斉入園の申し込みができる翌年の4月(こどもは生後6ヶ月)には保育園に通う心の準備はしていました。「時短なのか?」「実親に預けてフルタイムか?」などシミュレーションしていましたが、実際に入園が決まらないことには机上の空論。細かいことまでは考えていなかったのが本音です。
こどもが産まれ、気持ちに変化が…
しかし産後の体調が優れないことから、仕事復帰のメドが立たないまま4月入園の申し込み日が過ぎてしまい、生後6ヶ月での仕事復帰は残念ながら見送ることに…。「今までのように、思い通りにはいかないんだ。」と実感した出来事でした。
その後体調は良くなりましたが、1歳になるタイミングでは保育園入園に落選。復帰がかなわず焦る気持ちもありましたが、こどもも成長し、おでかけなどの楽しみが増えるといった変化も。お母さん同士のつながりもでき、新しい生活基盤を築きつつありました。一時保育も考えましたが、もう少し育休を取得し、人生で数少ない、今の時間を大切にしようと考えがシフトしていきました。
少しずつでも社会と関わりたい!
それでも、社会との関わりを感じられないことに若干飽きてきた頃でもありました。そんなときに知人から「パソコンがあればどこでも仕事ができるのでは?」とアドバイスをもらい、会社にテレワークを相談したら二つ返事で快諾。「できなくても責める人はいない、まずはやってみよう」と決意しました。
出産前まで携わっていたデザイナーを引き続き担当。社内のデザイナーや編集者から指示をもらい、外部スタッフのひとりのように受注をしていました。締め切りが長めに設定されている案件に絞って発注してもらったので、本当に助かりました。
2.実際にテレワークをやってみて。環境、時間、注意点などをおさらい
ハード面は新調しませんでした
1日数時間の仕事量だったので、PCなどのハード面の用意は特にしませんでした。会社で使っていた27インチのiMacを車で持ち帰り、自宅に設置。事務机がなかったので、最初の作業スペースは背の低い食器棚の上でした…(途中でテーブルに変更)。プリンタはあったほうが良かったと思いますが、担当する案件量を考慮して購入は見送りました。ネット環境はもともと自宅で契約していたものを活用しましたが、データのやり取りを考慮して、速度制限がないプランに変更しました。
その頃はビジネスチャットの導入前だったので、社内スタッフとの連絡やデータのやり取りはLINEやDropboxをフル活用。自宅の環境でできることで仕事を取捨選択していくほうがハードルが低く、始めやすいと思います。
・作業スペースは食器棚でもOK
・データのやり取りがあるなら、インターネット環境は「速度制限なし」のプランに
仕事は基本、こどもが寝ている時間に
テレワークを始める前は「こどもがテレビを見てる間に作業すればいいや」、と軽い気持ちで考えていました。いざ進めてみると「何してるの?」と覗きに来たり、キーボードをバシバシ叩いたり、「こっち来て」と呼ばれたり、とても仕事ができる環境ではなく…。そのため、こどもが寝ているタイミングに対応していましたが、まとまって昼寝をしないうえ、音に敏感な子だったので、昼間の仕事は難しかった記憶があります。
もちろん、寝ているタイミングにだけ仕事があるわけではないので、こどもが遊んでいる隙にすばやく修正したり、泣き叫ぶこどもをあやしながら仕事をすることもありました。締め切り日やデータのやり取りがある日はすぐ対応できるように、なるべく自宅で待機。外出先で「急ぎで対応してほしい」と依頼を受けたときは、焦って帰る日もありました。
このようなケースは、普段から在宅で仕事をしているフリーランスの方なら誰もが経験されている些細なことだと思います。一方で、私は今まで会社で仕事をしてきたため、自宅で仕事とプライベートが並行していくこと自体に慣れていないこともあり、てんやわんやしていました…。それでもデザイン職はひとりで完結できる仕事なので、テレワークに向いている職種だと思います。
こどもが仕事関連のものを触らないように管理しました
パソコンなど会社の備品や書類は、こどもの手の届かない場所に置いていましたが、歩き回るようになると、電源プラグなどを引っ張ったりといたずらが始まり、ヒヤヒヤする場面もありました。可能ならば、こどもが入らない部屋で作業ができるといいですね。親が大事そうにしているものは、こどもにとっても魅力的にうつります!
また、社内にいない分、スタッフ同士で細かなニュアンスの違いなどは共有しにくいので、意思確認は慎重に対応しました。
3.在宅勤務で難しかったこと。電話や体調管理には気を配って!
電話を使う業務は難しかった
ガイドブックの制作では、掲載先に内容に間違いがないか確認をする業務があります。その仕事を依頼され、掲載先に電話をかけていたとき、何度かこどもが泣いてしまいました。当時はまだ1歳。電話中、静かにできる年齢ではなかったので、「お子さん、大丈夫ですか?」と気遣わせてしまうことや、「聞こえにくい」と気を悪くされた方もいらっしゃいました。昼寝のタイミングで電話をかけても、不在ならば相手の都合に合わせたときに改める必要があり、時間を上手に使うことができず、結果として電話の仕事は外してもらうようにお願いしました。
体調によっては無理をしないことが大切
また、育休中のテレワーク自体1人目のときにしかできませんでした。2人目が赤ちゃんのとき長子は保育園に通っていたため、育児自体に余裕はあったはずなのですが、こどもが小さい今、しっかり向き合わなければという気持ちと、早く仕事復帰しないとという焦り。周囲からのアドバイスをプレッシャーとして受け止めてしまい、自分をコントロールすることが難しい状態でした。
1人目と同じく、こどもが1歳のタイミングで会社から復帰のお声がけをいただきました。保育園への入園もできる環境でしたが、気持ちがついていけず復帰を延長し、新年度となる4月のタイミングで本格的に業務が行えるように準備をしました。
・体調が優れないなら、無理をせず会社と交渉して仕事量を調整しよう
4.育児休業給付金はどうなるの?
労働時間によって減額されます
私のように育休中に仕事復帰をしても、一定条件を満たしたうえ就労していることを申告すれば、育児休業給付金は受け取ることができます。そもそも育児休業給付金とは、育児休業中で給与が一定以上支払われなくなったときに、雇用保険からその間の生活を支える目的で支給される制度で、こどもが1歳(延長申請があれば2歳)まで受け取ることができます。
受け取るためには、以下の受給条件を満たす必要があります。
- 雇用保険に加入していること
- 育休に入る直前の2年間に、11日以上働いた月が12ヶ月以上あること
- 育休中に受け取っている賃金が通常の8割以下であること
- 育休中の就業日が月に10日以下(または80時間以下)であること
また、受け取れる金額は休業からの時期によって異なり、以下のように定められています。
- 休業開始から6ヶ月:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 6ヶ月以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
前述した通り、「育休中に受け取っている賃金が通常の8割以下であること」とあるので、80%以内ならば、給付金も給与も両方受け取ることができます。(ただし、労働時間によって減額されます。)が、そもそも育児休業自体「その期間の労働提供義務を消滅させる制度」となるので、就労が月10日を超えて、かつ80時間以上となると給付金の受け取りができなくなってしまいます。
育児休業中の就労については厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが出している育児休業期間中に就業した場合の育児休業給付金の支給について資料を確認してくださいね。
5.まとめると、育休中のテレワークをしてよかった
私は育休中にテレワークで仕事をしてよかったと感じています。一番のメリットは復帰がスムーズだったこと。会社に復帰する数日前まで短時間でも勤務をしていることになるので、感覚をつかむまでが比較的順調だったように思います。
逆に、テレワークをしなかった2人目の育休中からの復帰は、仕事に慣れるまでなかなか苦労をした覚えがあります。育休だけのときと比べれば生活は大変になりますが、上記のように就労上限に守られていることや、出社しているスタッフの調整に助けられたことが大きいです。
もしテレワークが可能な仕事なら、一度やってみるといいかもしれません。もしできなかったら、改めて復帰までに準備をすればいいのですから。うまくいかなくても、誰も責めたりはしませんよ!
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