2021.04.12 Mon
『私が最近弱っているのは毎日「なんとなく」食べているからかもしれない』(文響社・小倉朋子)/ 食べることは、生きること。いまより豊かで幸せな食を手にいれるためのAtoZ
著者の小倉朋子さんは、日本全国から生徒が集まるテーブルマナー教室をはじめ、飲食店のメニュー開発や食育など、幅広い分野で多彩に活動する “食の総合コンサルタント”。
「忙しくてコンビニでパン1個しか買えないときも、私はいちばん食べたいパンを買って、ありがたいなと思って食べてるんです」と話す、その根っこにある食の哲学とは。
いまを精一杯生きる女性に読んで欲しい、エールのような1冊です。
¥1,375
発行/文響社
著者/小倉朋子
この記事のライター/甚沢里絵(ライター・心を整えるノートレッスン主宰) 書くことって、楽しい。それに、自分をご機嫌にしてくれるもの。幼い頃からそう信じて、ライターになる。現在は、日記の習慣化など、心すこやかに生きるエッセンスを発信。女性のライフスタイルや暮らし方、セルフケアに関する分野を中心に、気持ちよく生きるためのコツを日々収集する。 |
1.「おいしい」食べ方をしていますか?
いまから数年前、おいしいと噂のグルメ情報やこだわりの栽培で作られる農産物を追いかけ、取材に執筆にと忙しくしている時期がありました。
おいしいものにめぐり合い、作り手の想いに触れるたびに、もっと知りたいという好奇心から、現在はずいぶん食いしんぼうに。普段の食事にもこだわりを持つようになりました。
時を同じくして、働く主婦となった私は、1日三度の食事づくりが日課に。
“おいしいと満足できる料理を、丁寧に作りたい”という気持ちはあるものの、時間はできるだけ仕事に費やしたい。
そのうち、食事は作るだけでなく、おいしくなければならないというプレッシャーを感じるようになりました。
さらに、自分ひとりの食事なら、“とにかく時間をかけずに簡単に済ませよう”という気持ちが強くなり、かけ離れていく理想と現実。自分のふがいなさが切なくて、悶々とするばかりでした。 そんなとき、書店の料理本コーナーの近くで見つけたのがこの本。タイトルを見た時、自分に思い当たる節があると思い、手に取りました。
そこには、1日30品目、野菜はたっぷり、という誰もが知る食の理想ではなく、自分自身が食に対してどんな意識で向き合うか、という問いが書かれていたのです。
目次にあった
ひとりごはんを雑に食べている
からかもしれない
を見たときに愕然。
これはわたしのための本だと思ったのです。
2.マナーは、人との食事だけでなく、ひとりの食事も豊かに変える
前書きには、こんな一節があります。
すこやかに食べる、心が満たされる食べ方とは何か。
食べたら太る、食べたらよくないという、どうしても付いて回るネガティブな感情から解放されるためには、どうすればよいのか。
そうした悩みに、本書は「シンプルなことだったのね!」と腑に落ちる答えを次々と導き出してくれます。
はじめて本書を手にしてから状況は変わり、現在は子どもを持つ母となりました。一人で食事をすることはなくなりましたが、いまもなお教訓にしていることがたくさんあります。
なかでも印象深く、大切にしているのは「『食事七則』のエンディング美の法則」です。
テーブルの上に口や手を拭ったナフキンを散らかしたり、できるだけお皿に汚れを残すことのない美しい食べあとは、作った人に敬意を示すことになり、作った人から「この人は最後まで丁寧だな」という印象を持つことになる。
本当にその通りだと思ったのと同時に、食べあとひとつで、その人に対する見方が変わってしまうのだということにも気づかされました。
実際に、自分の食べあとを確認して食事を終えると、気持ちがうんと満たされるのです。
「このお皿にのっていた料理、おいしかったな。このお皿のもおいしかった」と思い返しながら、テーブルの上を整える。
そうして心から「ごちそうさま」と言える自分の気持ちがうれしくて、心がうんと満たされるのは、とても大きな気づきでした。
3.一日三度。いつくしむほど、心がうんと強くなる
著者の小倉さんは、「食に『敬意』を払う」とたびたび繰り返します。
365日、24時間、ずっと食のことを考えているという小倉さんの教えには、斬新でユニークに感じるものもありますが、実践してみるとどれも説得力に溢れています。
その理由はきっと、1万人以上の食を見てきた人だからこそ。
おいしいものが溢れ、さまざまな情報に触れられる今だからこそ、食べることの本質を立ち止まって考えてみる。
それは、難しく考えずとも、自分の食に対する意識を見つめ直すだけ。
この本に詰まった、人生そのものを豊かに変えるエッセンスが、あなたにもどうぞ届きますように。
¥1,375
発行/文響社
著者/小倉朋子
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