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2021.09.02 Thu

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1週間後のロケが雨予報……。取材を決行すべき?/ヒヨコ編集者の質問・ニワトリ編集長の回答[第3回]

“メディアを問わず何でもおまかせあれ!”という敏腕の編集者でも、若かりし頃は何も分からず、ピヨピヨとヒヨコのように鳴いていたはず。みんな悩んで大きくなったのです。

ヒヨコだったエディマート社員から過去に挙がった「?」に、会社の編集長でもある私ニワトリが答えるこの企画。第3回のテーマは、ロケのスケジュールを組むときにつきものの、「天気」についてです。

1.そもそも天気は変わるもの。だから難しい


ヒヨコ編集者

いよいよ初のロケ!
楽しいだけど雨が心配だなぁ……。

A先輩も今度ロケだけど、
焦っている様子はないよ。


ニワトリ編集長

アウトドアやドライブといったレジャー企画、はたまたモデルを使ったグラビア。情報誌や会社案内、大学案内などさまざまなメディアで、屋外の開放的な空間で撮影したいことってありますよね。

撮影にあたっては、現地へのアポイントや、カメラマンなどかかわるスタッフのアサインが必要なため、最低でも1〜2週間前には予定を組んでおきたいもの。広告案件なら1ヶ月前にスケジュールを立てることもザラです。

しかし、先の天気なんて誰にも読めません。ロケ当日が近づくにつれ、それまで晴れだった予定が曇りになり、やがて雨マークが……なんてことはよくあります。

当編集部でも、天気の影響でロケ日が決めづらいという状況は日常茶飯事。それは新人編集者でもベテランでも同じです。ところが、新人が天気予報とにらめっこしている横で、ベテランは涼しい顔。なぜなら事前の備えが大きく異なるからです。

2.予備日を設定しかかわるスタッフへの状況共有を


ヒヨコ編集者

A先輩はどうして平気でいられるんだろう?

予備日の設定と連絡を徹底しているからだね。


ニワトリ編集長

ロケ日の設定にはコツがあります。とくに「雨天NG」の企画の場合は、ロケ日とともに「予備日」を設定し、モデルやカメラマン、ライターなどかかわるスタッフのスケジュールを両日ともおさえておきます。

そこで大切なのが、「決行or延期をどのタイミングで決めるか」「延期になった場合のギャランティ」について、事前にすり合わせをしておくことです。ロケが延期になると、当然ですがその日は別の作業にあてることができます。ギリギリまでロケの決行or延期が決まらなければ、貴重な1日が無駄になってしまうこともあるでしょう。当社としてはロケの遅くても前日朝までには最終決定をしておくべきだと考えます。たとえば「ロケ前日10時の時点で、翌日の降水確率が40%だったら延期」などです。

もうひとつ大切な事前共有がギャランティです。モデル事務所の場合、キャンセル料について取り決めがあるので、あらかじめ確認をしておきましょう。もちろん、カメラマンやライターに対しても、あらかじめ予備日の拘束も含めたギャランティを設定しておくとトラブルになりません。

 

3.雨が降ってしまっても奥の手はある!


ヒヨコ編集者

編集長!けっきょく予備日も雨が降りそうです……。

「とりあえず行く」という選択肢も考えてみよう。


ニワトリ編集長

入稿までのスケジュールが迫っている、予算に限りがある、などの理由で予備日が取れないこともあるでしょう。そんなときにはどうすればいいのでしょうか?

当社の場合、晴天が必須の場合は、あらかじめ予備日が取れるようにスケジュールや予算調整を事前に相談しておきます。

それでも予備日の設定が難しかったり、予備日も曇天や雨天が予測されたりする場合、奥の手はあります。

じつは写真には雨はほとんど写りません。さすがに地面や建物が濡れていることはわかりますが、多少の小雨なら、雨が降っていることがわからないように写真を撮ることは可能です。また企画によっては、地面や建物が濡れていたほうが、しっとりした雰囲気になって良い場合も。過去に当社では、飛騨高山の古い町並みの企画や、伊勢神宮の企画で雨に見舞われましたが、ロケを決行し、結果的に情緒ある素敵な写真が撮れたことがあります。

撮影後の画像補正も奥の手のひとつ。空に青みを加えたり、彩度を高めたりすることで、雨が降ったとはわからない写真に仕上げることができます。ただし、補正をする手間がかかるので、その分のコストは見積もっておきましょう。
またモデル撮影の場合、髪の毛が雨に濡れてしまわないように、編集者が傘をさしてあげた上でアタリをとり、撮影直前で傘を外すことも忘れずに。

 

4.晴れ男(女)、雨男(女)は本当にいるのか


ヒヨコ編集者

僕、「雨男」って言われるから、仕方ない部分もありますね。

ベテラン編集者に「雨男」が少ない理由はわかるかね?


ニワトリ編集長

最後にオカルト的な話を少々。「編集者あるある」ですが、ほとんどの編集者が「ロケに行くと必ず晴れる」「ほとんどが雨で困る」といった、晴れ男(女)や雨男(女)のエピソードを持っています。ちなみに私は晴れ男です。

当社のベテラン編集者も、入社して間もない頃、どんな企画に行っても雨に降られる「雨女」とレッテルを貼られていました。しかし経験を積み、今ではそんな噂は吹き飛びました。

勘のいい人なら察したのではないでしょうか。事前の段取りや事後の対応で、いくらでも「晴れ男(女)」になれることを。

ロケは気が抜けず大変ですが、編集者の腕に左右されるやりがいに満ちた仕事です。ぜひ万全な準備をして、楽しみながら企画を成功に導いてくださいね。

 

今回のまとめ!

  • 晴天マターのロケは「予備日」を設け、関係者に共有をしておく
  • 少雨決行でも撮影方法や写真加工の工夫でなんとかなる場合がある
  • 上記をしっかりと押さえておけば、誰もが晴れ男(女)になれる

 

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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