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2021.11.30 Tue

本の紹介

『キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり』宮崎大輔インタビュー/知りたいことに伝えたいことを添えて“再生栽培”の魅力を発信

宮崎大輔

長引くコロナ禍において、おうち時間に楽しさや癒やしを求める人が急増する昨今。

健康志向も相まって、家庭菜園を始めてみたい!という方も多いのではないでしょうか。

そんな中、2021年10月14日発売の『キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり(KADOKAWA)』が、野菜の切れ端から再収穫する“再生栽培”の決定版として話題を集めています。当社、エディマートも編集で参加させてもらいました。

本書には、合計41種類もの野菜の育て方を掲載。小ネギやミツバなどの葉っぱの野菜、ミニトマトやナスなどの実の野菜、ジャガイモやニンニクなどの根っこの野菜、イチゴなどの果物、ハーブ&スプラウトなどなどをオールカラーでわかりやすく紹介しています。

今回は著者である農業専門家YouTuberの宮崎大輔さんにインタビュー。

書籍についてはもちろん、動画配信者として、またコンサルタントとして“伝える”仕事をする上で大切にしていることを伺いました。

取材
イチゴテック代表・農業専門YouTuber
宮崎大輔

1988年、長野県生まれ。2019年に農業コンサルティング会社「イチゴテック」を創業。農業専門のYouTuberとしても活躍し、チャンネル登録者数は13万人を突破している。(YouTubeTwitter


礒永遼太

この記事のライター/礒永遼太(エディマート)

エディマートの編集者として十数年。現在では取材執筆もこなしながら、編集業務を中心に担当。今回の宮崎さんの書籍でも、試行錯誤しながら制作編集者を務めた。好きな野菜はホウレンソウ。

1.家庭菜園を始めるなら、まずは再生栽培から

農業専門家YouTuber・宮崎さんが伝える再生栽培の基礎知識


礒永遼太

初の著書のご出版、おめでとうございます! 「再生栽培」という手軽なやり方で、自宅での野菜作りをレクチャーしてくれる本書。

農業コンサルタントとしても活躍されている宮崎さんの専門知識がわかりやすくたっぷりと散りばめられているのが印象的です。

ご実家は果樹園を経営されているそうですね。

長野県のリンゴ農家に生まれまして。子どものころから野菜栽培に興味を持っていました。

大学では農業、とくにいちごの品種改良などについて学び、大学院卒業後は青年海外協力隊の野菜栽培隊員として、中米パナマ共和国での農業支援を経験。2019年に農業コンサルティング企業『イチゴテック』を創業し、日本、アジア、中南米、アフリカで農業ビジネスの支援をしています。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

同時にYouTubeでは農家や家庭菜園向けの動画投稿をされていて、現在チャンネル登録者数が13万人を突破されたとか…!

はい、「趣味の園芸からガチ農業まで」をテーマに幅広い発信をしています。本書はそのなかでもとくに反響の大きかった「再生栽培」についてまとめたものです。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

今回、本書の編集に携わったことで家庭菜園に対しての興味が増すばかりでして、今日はお話を伺うのが楽しみです!どうぞよろしくお願いいたします。

そもそも再生栽培とは?

野菜の切れ端を育てて、もう一度野菜を収穫する栽培方法のことで、“リボベジ(リボーンベジタブル)”とも呼ばれる。

庭や畑がなくても、種を買わなくても、初心者でも、スーパーで買った野菜があれば始められる手軽な家庭菜園の一つとして浸透。コロナ禍において自宅で過ごす時間が増えた今、新しい趣味としても注目が高まっている。


礒永遼太

まず、「再生栽培」の魅力について教えてください。

何より、始めるハードルがすごく低いことですね。種や肥料など特別な準備をしなくても、自宅で料理した時に出る野菜の切れ端を水に浸けるところから始められます。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

スーパーで買った野菜があれば、もう一度野菜を育てられるというのは驚きです。

そうですね。普段、食材として見ている野菜が苗となり、育っていく様子を見られるのは面白いものですよ。

お子さんがいらっしゃるご家庭なら、学校で学んだことを実際に見ることができるし、食育にもつなげられるのではないでしょうか。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

育てて収穫し、食べられるというのが楽しいところですよね。

そこが観葉植物や花を育てるのと大きく異なる点かな、と。

食べられるからこそ、おいしく育てようとか、農薬を使わずにやってみようとか、品種にこだわってみようとか、工夫が生まれます。

同時に、スーパーで買った野菜のほうがおいしいな…とか無農薬に挑戦したら虫食いだらけになってしまったとか、やってみて気づく難しさも

最終的に「食べる」ところにつながるからこその、面白さも難しさもあるのかなと思います。

宮崎大輔
宮崎さん

2.読者の悩みを解決できる一冊に

おうち野菜づくり

家庭菜園を挫折した人やあきらめている人に届けたい


礒永遼太

ここからは、書籍『キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり』についてお伺いしたいと思います。

まずは本書の出版までの経緯について教えてください。

過去にいくつか出版のお話をいただいたことはありますが、今回は出版社のKADOKAWAさんと「どんな人に読んでもらいたいか」というターゲットやビジョンが共有できたことで、本づくりがスタートしました。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

具体的にはどんな人をターゲットとして設定されているのでしょうか?

まずは家庭菜園を一度もやったことがない人

もともと家庭菜園が好きな人は、一般的なやり方で始めているはず。本書は家庭菜園本ですけれど、一般的な家庭菜園に挑戦するつもりがない人をターゲットにするというちょっと変わった本なんです。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

なるほど。確かに家庭菜園に憧れはあっても実際に始めるにはちょっとハードルが高い、という人は多いと思います。

そのあたりも、KADOKAWAさんが理解してくれていたのですね。

家庭菜園に挑戦したことがあるけど途中で枯れてしまったり、大きな実ができなかったりなどで、挫折してしまった人にもぜひ読んでほしい。

あとは在宅でできる趣味を探している人や、子どもや孫と一緒に植物を育てたいとか、食育を大切に考えたい人にも届けたいです。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

読んでほしい人に届けるため、どんな点を工夫されたのでしょうか?

イラストや写真が多くてパラパラめくっているだけで楽しい一冊という印象ですが。

イラストやデザインは、ポップな雰囲気を意識しつつ、リアルさとかわいさがほどよく両立したものを目指しました

初めて野菜作りにふれる人にとっても親しみを感じられる一冊になったと思います。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

丁寧でわかりやすい入門書になっていて、「これだったら自分にもできるんじゃないか」と思わせてくれます。

難易度が4段階で示されているのも、育てる野菜を選ぶ際のポイントになりそうです。

基本的にスーパーなどで手に入りやすい野菜を、難易度のバランスも考えながらセレクトしました。初心者向けにすごく簡単に育てられるものを多くしていて、それがうまくいったらステップアップできるように難しめの野菜もそろえています

難しいといっても収穫まで何年もかかってしまうようなものは外し、初心者でもがんばれば収穫できるようなものに絞りました。

宮崎大輔
宮崎さん

本書では難易度や育てる場所といった基本情報に加え、栽培時のポイントも野菜ごとに紹介


礒永遼太

必要な道具についても、写真でしっかり紹介されています。100円ショップのアイテムもたくさん…

ホームセンターに行かなくても、手軽にそろえられるんですね。

家庭菜園というとホームセンターで農業や家庭菜園用のものを買わなくては、という先入観があるかもしれません。

でも実は家にある日用品で代用できたり、最近は100円ショップでも園芸グッズの品ぞろえが充実してきています。

必ずしもホームセンターのものより品質が劣るわけではなく、100円ショップのアイテムでも十分に野菜を育てられると伝えたかったんです。

宮崎大輔
宮崎さん

身の回りの日用品活用術について詳しく紹介するページ


礒永遼太

身近にあるものや100円ショップで道具をそろえられるとなれば、ますます野菜作りのハードルが下がりますね!

『キッチンからはじめる!日本一カンタンな家庭菜園の入門本 おうち野菜づくり』は、宮崎さんの持つ知識や経験が詰め込まれた本になりましたが、実際に作られてみていかがでしたか?

本作りはすごく大変なことがよく分かりました。

いろんな人がいろんな形で時間と労力を注ぎ、お金もかけて作り上げられていて…。

今回はKADOKAWAさんが提案してくださった切り口やコンセプトに心から納得して取り組むことができました。大変だからこそ、そんなふうに十分すぎるくらい納得したうえでじゃないと、本作りには手を出したらいけないということを実感しましたね。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

大変だけど幸せな本作りになったのなら何よりです。

『おうち野菜づくり』パート2も、楽しみにしています!

3.大切なのは誠実に伝えること

自分だからこそ発信できることにこだわる


礒永遼太

農業の専門家としての知識や経験を生かし、YouTuberとしても大活躍されている宮崎さん

“野菜づくり”について発信することになったきっかけについてお聞きしたいです。

一番最初のきっかけは、大学四年の時、全国農学系交流会というイベントを行った際に、情報発信の大切さに気付かされたことです。

全国の農学部の学生を100人集めるのが目標でしたが、20~30人しか集められなかった。SNSが世にあらわれ始めたタイミングでもあり、これからはブログに加えてFacebookやTwitterを活用することで、私自身や私の考えに共感してくれる人を増やすことが大切だなと強く感じまして。

2010年くらいから10年ほどかけて情報発信を続けてきました。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

早い時期から情報発信の大切さを意識されていたのですね。

最初に始めたのはブログでしたか?

そうですね、当時はブログが流行っていたので、野菜栽培のことをいろいろと綴っていました。

YouTubeが盛り上がってきたのに合わせて情報発信の重点を動画に移し、利用者が減ってきたFacebookに代わりTwitterやインスタを活用しています。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

時代の流れに合わせて、発信の仕方を変えてこられ、今は野菜作りについてはYouTubeがメインに

表現の手法をブログから動画に変えられて、伝え方の幅も広がると思いますが、難しくなかったですか?

テキストと動画は違うので…、難しかったです。1、2年前に作った動画を見ると、もう全然よくない(笑)。

自分なりの切り口や編集などのメソッドがだいぶ固まってきてはいますが、データを分析したり、コメント欄にいただいた意見や感想を参考に、今も少しずつ改善を重ねているところです。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

視聴者からの声も動画作りに生かしておられるのですね。

“伝わる”動画を作るために、どんな準備や工夫をされているのでしょうか。

話す内容を簡単にまとめた台本は作っています。箇条書きの見出しを用意し、順番を決めてから話すようにしています。

カメラワークは広めに撮影しておいた方がいい場合、私の手元だけを写した方が分かりやすい場合などを、見極めて意識する。カメラやレンズ、機材、照明、イヤホン、ピンマイクなどの撮影機材はお金を出しさえすればいいものがそろうので、そこは惜しみません。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

しっかりとした準備をしたうえで撮影にのぞまれて…、一つの動画の長さは20分前後になっていますよね。

それくらいが一つの目安です。私の動画の視聴者層は、すこし年齢層が高めで仕事から引退されている方も多くて、時間に余裕があるのではないかと

それゆえに長めの動画を作ることが多いですね。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

どんな人が動画を見ているかを具体的にイメージしていらっしゃるのですね。

ほかに発信者として大切にされていることがあれば教えてください。

視聴者が見たいことをそのまま発信するのではなく、自分だからこそ伝えられることを大切にしています

視聴者の本当の望みって「もっと簡単に」「もっと楽に」みたいなことだったりする。でもそういう伝え方がベストではない場合もあるので。再生回数やチャンネル登録者数を増やすのが目的なら、また別の動画の作り方になると思います。

でも私は本業のコンサルタント業や広告案件の動画制作の仕事があるということで、自分だからこそできる動画作りを意識することができていますね。

宮崎大輔
宮崎さん

宮崎さんが持つ知識や情報をまとめた解説を交えながら動画を発信


礒永遼太

宮崎さんだから作れる動画を発信して価値を与えられているからこそ、チャンネル登録者数13万人(!)という結果につながっているのですね。

視聴者に必要とされる情報を発信し続けるために、また本業の農業コンサルタントとしても、知識をたえずアップデートしていくことも必要だと思います。

どのような方法で勉強されているのでしょうか。

身近なことで言うと、本を読むことですね。気になった本は片っ端から読んでいきます。

SNSでフォローしている人から情報を得たり、オンライン勉強会や農業関係の展示会などに参加したりもしますが、一番頼りにしてるのは本。

有名経営者が書いたメンタルについての本から、マーケティングの成功事例のような本まで、月に30冊以上は読みます。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

月に30冊以上…!どんなふうに、読む本を選んでいるのですか?

SNSなどで誰かが推薦していた本は積極的に買って読みますし、興味のある業界に詳しい人に会った時には「私が読むならどんな本がおすすめですか?」と聞き、必ず買って読みます。

本を買って後悔することって私にはないんです。

いい本だったときはもちろんですが、つまらないなと思っても、一年後に読んだらすごく面白く感じるかもしれない。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

なるほど。たしかに読む自分の状況によって、本の内容の受け取り方は変わりますよね日々の読書を中心とした学びが、発信者としての宮崎さんを支えているのですね。

宮崎さんの活動を拝見していると、誠実さもすごく伝わってくるんです。たとえば動画の概要欄に使った商品のAmazonリンクが貼ってあったり、視聴者からのコメントや質問に必ず返信をしていたり。

お忙しいのに、懇切丁寧にお仕事をされているなあと感動してしまいます。

ありがとうございます。じつは農業関係の動画をアップし始める前、半年くらいYouTubeに海外旅行系の動画をアップし続けていたんです。

でもまったく再生回数や登録者数が伸びないという苦しい下積み時代がありまして…

それを乗り越えて、今視聴者が増えてきているので、コメントが1件来ただけでもものすごくありがたいんです。

宮崎大輔
宮崎さん

礒永遼太

そうでしたか。うまくいかない時期を経て、工夫や改善、そして学びを積み重ねてこられたからこそ、宮崎さんの発信者としての今があるのですね。

今日は興味深いお話を、どうもありがとうございました。これからのご活躍も楽しみにしています!

4.終わりに

一ヶ月に30冊以上の本を読み、本から得られる学びをとりわけ大切にしているという宮崎さん。初めて挑戦した本作りのテーマは、誰もが簡単に野菜を育てられる「再生栽培」でした。伝えたかったのは何よりも、野菜や植物を作ることの楽しさ。

農業コンサルタントとして、規模の大きな農園の相談に乗ることも多い宮崎さん。YouTuberとしての活動にもいえることですが、「本」という形で情報を発信することで、小さな規模の農家や個人的に家庭菜園に挑戦する人の役に立てることが嬉しいと話してくれました。

「再生栽培」の入門書という形をとりつつ、農業専門家ならではのさまざまな知識をわかりやすく楽しく伝えてくれる本書。あわせて、宮崎家の菜園スペースの紹介、野菜作りがもっと楽しくなるお役立ちコラムなどもあり、宮崎さんの誠実で温かいお人柄が伝わってくるのも魅力となっています。

さっそくこの本をおともに、冷蔵庫の野菜を使い、身近にあるものや100円ショップで買える道具で、気軽に野菜を育てて始めてみましょう。きっと毎日がもっと楽しくなるはずです。

なお本書は、当社エディマートのオンライン書店「EmoBooks」でも好評発売中です!ぜひチェックしてみてください。

 

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RYOTA ISONAGA

この記事の執筆者RYOTA ISONAGAクリエイティブ・マネージャー

名城大学理工学部を卒業後、トヨタ系の自動車部品製造業に就職。「勉強したことを仕事に」という仕事の向き合い方は、次第に「好きなことを仕事に」という考えに変化。まったくの他業界から、2007年にエディマートに飛び込む。取材デビューは温泉旅館。現在では取材執筆もこなしながら、編集業務を中心に担当。ライターやカメラマンをはじめステキな外部ブレーンの方々と、上下ではなく横に並んで、ともにイイモノを創っていきたい。プライベートでは、二児の父親として奮闘中。ワークライフバランスを大切に。

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