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2019.04.05 Fri

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クリエイターである以前にビジネスマンであろう

みなさん、笑ってますか?エディマート代表の鬼頭です。

いきなり変な出だしでごめんなさい。クリエイターは多忙な人が多く、黙っていると眉間にしわが寄ってしまうのです。でも、そんな怖い顔で打ち合わせや取材に行っても、良い成果は出ませんよね。

エディマートでは、「クリエイターである以前にビジネスマンであれ」と、事あるごとに言われますし、言います。社会に混ざって仕事をして、その対価としてお金をいただいている以上、僕らはクリエイターである以前にビジネスマンと言えるでしょう。この感覚を持っているのと、持っていないのとでは、動かせる仕事、お付き合いできるお客さんが大きく変わってきます。今回はそんなお話をしたいと思います。

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1.クリエイターによくある勘違い

最初に懺悔します。私自身、ディレクターとして独立した当初、髪の毛を茶色にして、ヒゲをたくわえました。会社員時代の反動と言いますか。それでいろんな会社に営業をかけて、「自分はこういう仕事をやってきました。できます」とPRしていたのですから、目も当てられません。ここに挙げる「クリエイター勘違いあるある」は、ほとんどが自身の経験によるものです。

いいものを作ればOK、ではない

「クライアントの相手なんて、会社の偉い人か営業担当に任せればよし。自分はとにかく制作を頑張るから」。そこまで口にしないとしても、クリエイターなんだからいいものを作りさえすればOK、という人をたくさん見てきました。超大手の制作会社に所属し、ほとんど人前に出ないなら、そんな考えでも良いかもしれません。でも大抵の制作会社では、制作であっても打ち合わせに参加することが多いですし、現場に出てディレクションをすることも少なくありません。ことさら編集者なら、いいものは一人でつくるのではなく、みんなでつくるという感覚が大切です。

エンドユーザー以外にも見るべきところは多い

もちろん、真っ先に見る相手はエンドユーザだと思います。雑誌や情報誌であれば「読者」、企業広告であれば「使用者」、リクルーティングツールであれば「未来の社員候補」などなど。一方で、クリエイターに仕事を発注する人は、社長だけではありません。中間管理職であることのほうが多いことでしょう。そういう人々が決済をとるためにクリアしなければならないことに思いを寄せたり、制作現場に上司が来た時の立ち居振る舞いに気を配ったりなど、クリエイターであっても見るべきところはいろいろあるのです。タイアップ広告を制作する際に、「読者が欲していますから」の一点張りで企画を押し通し、クライアントにそっぽ向かれたという話も聞こえてきます。お金を出しているのは誰でしょう。考えればすぐに分かりますよね。

クリエイター=芸術家、ではない

僕らはクリエイターであって、芸術家ではありません。その違いはどこにあるのでしょうか。私自身の感覚では、スケジュールと予算、ミッションの中で仕事をするのがクリエイター、そのあたりの裁量を個人に委ねられているのが芸術家だと思っています。考えてみてください。スケジュールと予算、ミッションの中で仕事をするのって、クリエイターだけではありませんよね。大抵の仕事がそうです。やっぱり僕らは、まずはビジネスマンなのです。

2. そもそもビジネスマンとは?

「『ではない』ばかりで、だったらビジネスマンって何なんだ!」と思われているかもしれません。今から書くことは、ビジネスマンの基本中の基本。でも、クリエイターの中には、これができていない人が本当に多いと思うのです。

約束を守る

締め切りやアポイントなどの「時間」を守る、与えられた「予算」を守る、お願いされた「ミッション」を達成する。ビジネスはすべて約束で成り立っています。でも僕らの世界では、締め切りを守らない、予算をオーバーしてしまった、頑張ったけど売れなかった、ということが結構あります。頑張ったけど売れなかったというのは、当社もあると思いますが、時間や予算は守って当たり前。一度失った信用はなかなか取り戻せませんから。

協調できる、空気を読める

企業トップのインタビューで登場したライターさんが、Tシャツ姿で驚いたことがあります。これは極端な例ですが、TPOをわきまえるのは最低限のマナーです。現場によっては取り巻きが非常に多い場合もあります。周りの雰囲気を察知して、ときには作り笑いをしてでもその場にあわせることも必要でしょう。協調するのはもちろんですが、自分がディレクションをする立場なら、場にあわせるだけではなく、良い雰囲気を自分からつくることも考えなければなりません。

コミュニケーションがとれる

声が小さい、挨拶ができない、名刺交換のやり方を知らない…結構います。当社では挨拶できないと怒られますし、名刺交換などビジネスマナーの基本を学び合います。社内でプレゼンやミーティングを重ね、自分の世界に入り込みがちなスタッフを外に世界に連れ出し、コミュニケーション能力の強化にも努めています。人といろいろな話をするためにも、新聞にはさらっとでも目を通して、時事は頭に入れておいたほうがよいでしょう。

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3. 社会性を意識して得られたこと

かつて勘違い編集者だった私が、偉そうにビジネスマンについて語らせていただきましたが、社会性を意識するようになって得られたことは少なくありません。どこの馬の骨か分からないところから始めた事業が、15年続いていることがその証拠のひとつです。他に、このような「いいこと」がありました。

仕事相手と規模が変わった

会社と個人に社会性が備わったことで、お付き合いできる企業の幅がとても広がりました。創業3年目からスタートした新聞社との仕事は、当初はいろいろとお叱りをうけながらでしたが、弊社の社会性の高まりと比例するように、徐々に発注量が増え、今では大切な事業の柱のひとつとなりました。また、一部分の制作から始まった雑誌・情報誌の制作は、品質での評価とともに、「この会社なら約束を守る」という安心感も手伝ってか、「特集まとめて」、「一冊まるごと」と、規模が拡大しています。

働き方が変わった

ここは厳密に言えば、「働き方が変わりつつある」ですね。社会性を意識するということは、社会にあわせた働き方をする、ということ。「クリエイターだから忙しくて当たり前」、ではありません。当社もまだまだ激務で、改善の余地は大いにありますが、昔から「忙しさに酔うのはやめよう」「寝ていない自慢は恥ずかしいこと」という文化があります。クライアントの多くが、そんな当社の文化を共有してくださっているため、特にスケジュールにおいて無理難題が押し付けられることはほとんどありません。

4.最後に

文章にしてみると、当たり前のことばかりのような気がしませんか?でも僕らの世界は、「クリエイター」という言葉に酔ったり、甘えたりしがちで、社会の当たり前から目を背けてしまうことが少なくありません。よいものをつくるのは当たり前。社会性を身につけるのも当たり前。両方できることで、仕事相手や規模が変わるだけではなく、自分が理想とするワーク・ライフ・バランスにも近づけるのではないでしょうか。

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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