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2021.08.02 Mon

伝え方・働き方

若鯱家 SDGsを考える「サステナブルえびせんべい」 │ 地元企業のSDGsを取材

持続可能な社会づくりを、誰も取り残すことなく達成することが目標のSDGs。すでに多くの企業では、これまでのCSRを発展させる形で、自社のできることを整理し、ゴールに向けた取り組みが進んでいます。

エディマートでも、社内会議を経て編集プロダクションができるSDGsを考え、実行していますが、そのなかの一つが、「地元企業のSDGsの取り組みを発信する」こと。SDGsの取り組みは、実行とともに発信することがとても大切です。
しっかりと取り組みを発信し、企業価値の向上やステークホルダーとの関係強化を図る。微力ながら、エディマートでそんなお手伝いができればと考えています。

エディマートが紹介する地元企業のSDGs。第1回は、「カレーうどん」を名古屋名物として広げた若鯱家を取材。うどんとSDGs、はたしてどんな取り組みがあるのでしょうか。

1.広告マンの創意工夫が経営に生きる

♪ちゅるちゅるうまうま〜。
中部圏に住む人なら耳馴染みのあるフレーズですよね。今では「カレーうどん」といえば「若鯱家」と、枕詞のようになっていると思います。

そんな若鯱家は、1987(昭和62)年に名古屋で創業。広告代理店を営み、根っからの麺好きであった初代社長の高橋靖裕さんが、行きつけのうどん屋でスープの調合に失敗した一杯を食べたのが創業のきっかけだったそう。
現在は、愛知・岐阜・三重、そして関東圏に計46店舗を展開するまでに(2021年7月現在)。店舗展開を続けながらも、創業者の「負けて学べや=チャレンジスピリット」は、今でもしっかりと、人創り、経営、味、サービス、店創り、広告・宣伝に活かされているようです。

失敗を無駄にせず、新しい価値に変える。創業の経緯もSDGsに近いものを感じるのは私だけでしょうか。

分け隔てない雇用と自己実現の機会を提供

お話をうかがったのは、取締役副社長の高橋雅大さんと、取締役人材開発室室長 兼 EC事業部部長の高橋真衣子さん。

高橋副社長は、名古屋青年会議所、日本青年会議所でSDGsの旗振り役を担当し、中小企業にSDGsを浸透させるために数多くの講演を行ったとか。
並行して高橋室長をはじめとするスタッフとともに、自社のこれまでの環境や社会問題への取り組みを見つめ直し、「若鯱家のSDGs」を整理されました。

とくに、「人創り」と「パートナーシップ」を重要課題に掲げ、外国人雇用や障がい者雇用を積極的に実施。現在も、外国籍のスタッフや障がいをもつスタッフが、若鯱家のカレーうどんをつくる重要な仕事に従事し、若鯱家の原点である「味」を大切に守っているそうです!

若者に業界のやりがいと多様な働き方を伝える

飲食業界は人手不足が深刻な問題になっています。

「少子高齢社会も要因ですが、次世代を担う若者に、飲食業界の姿や未来像を提示できていない点も理由」と高橋副社長。そのため若鯱家では、中・高・大学生のインターンシップを定期的に実施し、飲食業界のやりがいを感じていただく機会を提供しているそうです。

また高橋副社長は、「飲食業界への関心を高めるためには、接客や配膳だけではない仕事を知り、夢を描いてもらう必要がある」と続けます。そこで地元の大学と連携して、商品開発のプロセスを学びながら単位認定を行うカリキュラムを構築。大学生に、飲食業界の多様性や可能性を伝えることで、業界全体の活性化につなげる取り組みをしているのは、そんな理由からでしょう。

2.協業により生まれたせんべいがフードロスを解決


サステナブルえびせんべいの裏を見ると、協業した団体名と、学生が考案したメッセージが確認できる

日本ではなんと、年間で約612万トン(東京ドーム約5杯分)の食品が廃棄されており(環境省:我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値<平成29年度>)、フードロスは大きな社会問題になっています。
フードロスの解消方法として、通常より安価に商品を販売する方法が主流です。しかしこれはどちらかと言えば応急処置的なもので、持続可能な解決方法とは言えません。

「当社でも、うどんの製麺過程で出る端材のロスをどうするか、長年の課題だった」と高橋副社長。そこでタッグを組んだのが、名古屋青年会議所でつながった桂新堂でした。

2社のフードロスを組み合わせ商品化

名古屋の老舗菓子メーカー桂新堂では、えびせんべいを作る工程で出る「甘えびの頭」がロスの対象になっていました。そこでひらめいたのが、若鯱家のうどんの端材と桂新堂の甘えびの頭を、組み合わせることでお菓子にならないかというアイデアです。

アイデアは良かったものの、開発には予想以上の時間がかかりました。というのも、通常のえびせんべいは、でんぷんと海老が材料。塩を小麦粉にまぜて練り上げたうどんの端材とは異なります。
「そのままだと、端材に入っている塩の味が強すぎる。調整に苦労した」と高橋副社長。甘エビの香ばしさと、うどんの端材の適度な塩気、そして味の仕上げにはカレー風味をプラスし、2年以上の開発期間をかけ「サステナブルえびせんべい」は完成しました。

「サステナブルえびせんべい」は1ロット(せんべい4,500枚)で、使いきれなかった甘えびの頭を2kg、うどんの端材2.5kgを消費。これにより若鯱家と桂新堂ではフードロスが削減されるばかりか、これまで廃棄していたものがビジネスになるという二重のメリットが得られました。フードロスの対象を通常より安価に販売する方法と違い、まさに持続可能な方法と言えますね。

森林保護、学生参加によるサステナブル

さらに、せんべいの掛紙には、森林の健全な育成のため伐採された間伐材からできた紙を使用。できるだけ使用する紙の量を減らし、森林保護にも努めています。

また「サステナブルえびせんべい」は企業だけで完結しません。商品のPRにあたっては、名古屋国際中学校・高等学校のSDGs未来倶楽部「Sus-Teen!」のメンバーと議論を重ねたそう。掛紙の裏面に入る「この商品には原材料の他に、優しさも詰まっています。」の文章は、高校生から出されたアイデア。これからの未来を担う学生たちが、社会的課題について考える良い機会にもなったようです。

なお、「サステナブルえびせんべい」の売上の一部は「なごや環境大学」に寄付をし、名古屋市の環境活動に役立てられます。

3.地球環境の保護に貢献

取締役人材開発室室長 兼 EC事業部部長の高橋真衣子さんによると、若鯱家では人創りやパートナーシップ、サステナブルえびせんべいの他にも、環境保護につながる取り組みを行っているとのこと。
社内業務のクラウドワークス化・データ化を進めることで、紙の使用量を大きく減らしたり、店舗の樹脂箸、LED照明の採用も積極的に進めてきたそうです。

最後に「2030年にどのようになっているのが理想ですか」と聞くと、「全従業員にSDGsが当たり前のものとして受け入れられている状態です」とお二人。また、「SDGsのステークホルダーへの浸透も図ることで、業界全体の底上げにも貢献したい」と、強い想いも聞こえてきました。

「サステナブルえびせんべい」は、若鯱家オンラインショップや店舗、大丸松坂屋の桂新堂売場などで購入可能(12袋入 税込1,404円、24袋入 税込2,700円)。ぜひみなさんも味わって、若鯱家のサステナブルな取り組みにふれてみてくださいね。

 

 

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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