2021.07.20 Tue
いつも似たような文章に……。ボキャブラリーが増えません。/ヒヨコ編集者の質問・ニワトリ編集長の回答[第2回]
“メディアを問わず何でもおまかせあれ!”という敏腕の編集者でも、若かりし頃は何も分からず、ピヨピヨとヒヨコのように鳴いていたはず。みんな悩んで大きくなったのです。
ヒヨコだったエディマート社員から過去に挙がった「?」に、会社の編集長でもある私ニワトリが答えるこの企画。
第2回は、記事制作でのテッパンの悩み「ボキャブラリー」について、です。
1.原稿にボキャブラリーが求められる理由
今日は飲食店20件の原稿! |
書き分けを意識することはいいね。 |
ボキャブラリーとは「語彙」のこと。ある個人がもっている言葉の種類や量と言い換えていいでしょう。
なぜ原稿にボキャブラリーが必要なのでしょうか?ニワトリ編集長は「文章内の豊富な語彙によって読者の興味を引き、飽きさせずに読ませるため」と考えます。
コンテンツには必ずターゲットが存在し、対象に適したワードを選定する必要があります。
コンテンツのターゲットを(A)とすると、その人を飽きさせないためのボキャブラリーとして(A1、A2、A3……)が必要に。別のコンテンツでターゲットが変われば、(B1、B2、B3……)とあらたなボキャブラリーが求められます。
もちろんターゲットが共通することもありますが、編集者に必要なボキャブラリーは膨大であることがわかるのではないでしょうか。
ヒヨコ編集者がいきなり、会社案内や大学案内、企業広告のコピーなどを任されることはないでしょう。
おそらく最初に担当するのは、情報誌やカタログの200字程度の原稿。プロモーションツールほど高い語彙力は求められないと思われますが、読者を飽きさせないためにはボキャブラリーが必要です。
これはエディマートのあるヒヨコ編集者が、飲食店の紹介原稿のチェックを求めてきたときの話です。その原稿では、半分ぐらいの店が「白を基調とした」「開放的な」状態。これには参りました。
ヒヨコ編集者は、ボキャブラリーを増やす以前に「情報を盛り込む」努力をするべきでしょう。果たしてターゲットは何を知りたいのか。店内が白くて開放的な情報なんて、まず求めていません。情報がメインディッシュだとしたら、ボキャブラリーはあくまで味付けです。
2.自分だけの語彙辞典を作ろう
世の先輩方は、どうやってボキャブラリーを増やしたのですか? |
千里の道も一歩から。コツコツ貯めていくのが一番だよ。 |
それでは、ボキャブラリーを増やすためにどうすればいいでしょうか。ニワトリ編集長はたいてい3つのアドバイスをします。
1つ目は「使えると思った表現はストックする」。まずは自分が関わるコンテンツの他社事例をたくさん見ること。そうすることで、さまざまな表現が見つかるはずです。
そして、「使える」と思った言葉は必ず記録すること。ニワトリ編集長の駆け出しの頃は、エクセルを活用しました。あ行、か行……とシートをわけ、言葉と用例をエントリーしていく要領です。
もっとも、今を生きる編集者なら、スマートフォンを活用しない手はありません。見つけたらすぐにスマホにエントリー。それをクラウドで共有することで、場所を問わず自分だけの語彙辞典がいつでも閲覧できます。
おそらく、この語彙辞典は完成することはないでしょう。それは、登録されるであろう言葉が大量なのも理由ですが、語彙辞典を作っている過程で、頭の中にその辞典が移行されるからです。でも、それでいいと思います。
アドバイスの2つ目は、「必要であればツールに頼る」。今はWEB上で「類語」が簡単に検索できます。表現の言い換えをする際に、適切な言葉が見つからない場合は類語辞典を活用して探し出すのも手です。しかし、この方法におんぶにだっこでは、いつまでたってもボキャブラリーは増えません。ツールを使ったあとは、やはり見つけた言葉をストックして、自分のものになるように努めましょう。
3.「編集脳」を動かし続けることが必要
わかりました!でもなかなか時間がかかりそうですね。 |
なるほど。でも、ボキャブラリーを増やす機会は、オンタイムだけではないんだよ。 |
ボキャブラリーを増やすための最後のアドバイスは、「表現のストックに公私の差はない」ということ。1つ目のアドバイスにも関連しますが、新しい言葉に出会いたいなら、アンテナはプライベートでも立てるべきです。カフェで見るメニュー、街なかの看板、家電の説明書、薬の袋の裏……挙げればきりがないぐらい、世の中は言葉であふれています。
そこで使われている言葉を、プロの視点で見る癖をつけてみましょう。いい言葉のストックはもちろん、間違った文法や用法などを見つけるようにすると、ボキャブラリーはみるみるレベルアップするはずです。
ワークライフバランスが重要視されるなか、「休日まで働け」とは言いませんが、休みの日であっても「編集脳」は稼働しつづけましょう。
なお、Web記事でもボキャブラリーは必要です。Web記事では、SEO対策キーワードと一緒に使用される確率が高いワードを「共起語」と言い、あわせての使用が効果的と言われます。
そのような共起語を把握して文章に盛り込むことはもちろんですが、言葉のバリエーションを増やし、ターゲットを深くコンテンツに引き込むことは、「伝える」ためには欠かせません。
自身に言葉のバリエーションを増やすだけではなく、エビデンスをもとに適切に使っていく──ニワトリ編集長といえども、“ボキャブラリー道”に終わりはないのです。
ストックすべきボキャブラリーは大量だから、昼夜問わず言葉に意識を持て、ということですね! |
うむ。そういうことだ! |
- ターゲットをコンテンツに深く引き込むためボキャブラリーは必要
- 語彙辞典の作成、ツールの活用、編集脳を動かし続ければ語彙は増やせる
- Web記事では別のレベルのボキャブラリーが求められる
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