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2019.05.11 Sat

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編集プロダクションの採用で「未経験者OK」。その際に重視するポイントとは?

お疲れさまです。エディマート代表の鬼頭です。
超高齢社会、人口減少社会のなかで、労働力不足が続きますね。編集プロダクションと聞くと、なかなか人を採らないイメージがあるかもしれません。確かに、正社員の定期採用を行っている会社は少ないと思いますが、欠員が出たときに中途採用を行ったり、アルバイト採用で門戸を開いていたりすることがあります。
エディマートも同様で、これまで経験者とともに、多くの未経験者を採用してきました。今回は、当社が未経験者を採用する際のポイントをご紹介しますので、これから編集者をめざす方の参考になればと思います。

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1.編集プロダクションが未経験者を採用する理由

そもそも、どういうときに編集プロダクションが未経験者を採用するのでしょうか。経験者を採用するほうが手っ取り早いのも事実です。すべての編集プロダクションに当てはまるか分かりませんが、弊社が過去に未経験者を採用した理由を交え、考察してみます。

馬力が必要な案件があるから

メディアによっては、限られた時間のなかで膨大な情報を収集、加工、アウトプットしなければなりません。専門性の高いもの、趣味性の高いコンテンツでは難しいですが、施設情報を集め、間違いがないように整えていく仕事ならば、そこまでのキャリアは問われません。会社が制作を抱えるメディアで、こういったジャンルのものが増えた場合、経験者よりもきっと未経験者を採用するでしょう。

人件費を抑えたいから

経験者より未経験者を採用したほうが、当然ながら人件費は抑えられます。エディマートの場合は、ビジョンがあった上で、経験者にするか未経験者にするかを考えますので、「人件費マター」で決めることはありません。もし、人件費を抑えることだけを優先して採用を行う会社であれば、未経験にも関わらず入社後にいきなり専門性の高い仕事に就くなど、「キャリア」と「携わる仕事」とのミスマッチが起きる可能性があるため、注意をしなければなりません。
面接時に「何でもやります」と言われるのは、採用側にとってもうれしいことですが、ミスマッチによりすぐに退職してしまっては元も子もありません。面接時には必ず、入社後にまずどんな仕事に携わるのか、またその後どのようなステップが用意されているか、確認するようにすると良いでしょう。

理念を共有し会社を成長させたいから

欠員が出たときだけが、採用のタイミングではありません。会社が何かにチャレンジするときに、募集をかけることもあります。当社の場合は、会社をより強く、大きくしたいときに、未経験者を採用することが多くあります。会社の成長期には、企業理念や目標、価値観、課題感などをしっかりと共有できる人材が必要になるためです。
もちろん、経験者であっても、想いに共感してもらうことができれば問題ないため、正確にいえば「経験不問」となりますね。

 

2.未経験者を採用する際に何を見ているか

当社が未経験者の方の面接をする際に、どんなところを見ているかまとめてみました。当社ならではの特殊なポイントが混ざっているかもしれませんが、他の編集プロダクションの面接でも参考になるかもしれません。

「素直」と「こだわり」のバランスが取れている

ほとんど、これに尽きるかもしれません。まず何よりも、素直であること。自分をフラットな状態に置き、好き嫌いなく好奇心をもってチャレンジする姿勢がとても大切です。なかには、「旅取材は行きたいけど、インタビュー系は避けたい」とか、「この出版社の仕事はいいけど、こっちの出版社の編集はやりたくない」という人もいました。当社では特定のジャンルを設けず、“「伝えたい」をともに、カタチに。”をキャッチフレーズにしてコンテンツづくりに取り組んでいるため、携わる仕事の選り好みをされては困ります。
一方で、誰にも負けない何かを持っている人にも強く惹かれます。そういうものを持っている編集者がつくったメディアは、程よい「らしさ」があり、魅力的です。
一点豪華主義の何かを持ちながら、素直に人の意見に耳を傾け、取り込むことができる。このバランス感覚は大きなポイントと言えるでしょう。

「ハレ」のスイッチをもっている

編集者はプロジェクトの中心に立つ仕事です。ともに仕事をする社内スタッフや、外部のプロフェッショナルを統率し、鼓舞するためには、どれだけ疲れていても「ハレ」のモードに自分を切り替えられるスイッチが必要です。
これまで、たくさんの方と面接させていただきましたが、編集者を志望する人は、比較的おとなしく、実直で、一人で作りこむことが好きなタイプが多い気がします。しかし、この仕事は一人で完結することはほとんどないので、気持ちを切り替えて、自分自身が推進力になれる力が求められます。

コミュニケーション能力がある

誤解を恐れず言えば、編集者は「人の力」を借りる仕事です。文を書くプロ、写真を撮るプロ、デザインをするプロ、などなど。人の力を借りるためには、コンセプトを分かりやすく伝えなければいけませんし、コンセプトとズレたものが挙がってきたときには、丁寧に説明し、修正へと導く必要があります。
もちろんメールやチャットなどは活用しますが、ここ一番はフェイストゥーフェイス。「傾聴」も忘れずに。自分のことばかり話す人は、コミュニケーション能力があるとは言えません。

 

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3.未経験者が編集者になるまで(エディマートの場合)

当社が未経験者を採用した場合、どのようなステップを踏んで一人前の編集者になっていただくか。これまでの実例を元に紹介します。なお、それぞれのステップの期間は本人次第です。

アシスタント業務で基礎を修得

入社後は先輩社員のもとで、編集者の基本を修得します。リサーチ、アポイント、取材、原稿、撮影、ラフ作成、写真選定、デザイン指示、校正といった各種業務を、まずは自分でできるようになることからスタート。この時点では、企画責任者は先輩社員になるため、いきなりページをもったり、外部のクリエイターやクライアントと交わったりすることはありません。

一人で完結できる企画を担当

基本業務がある程度身についたら、次に自分一人で完結できるボリュームの企画を担当します。例えば、情報誌のニュースコーナーを2ページ、など。リサーチを行い、取材先を選定、同時にページのラフを進めます。その後、アポイントを入れて取材を行い、原稿を書いて、写真素材とともにデザイナーへ指示。仕上がったページを取材先や編集部に確認し、修正を繰り返して印刷会社へ。このような一連の流れをすべて一人で行います。この時点でも企画責任者は先輩社員であることがほとんど。それぞれの工程には漏れやミスがないか、先輩社員のチェックが入ります。

外部クリエイターとともに企画を進行

次のステップは、外部クリエイターを巻き込んでの業務になります。一人で行っていた業務を外部クリエイターに分業することで、担当できる企画のボリュームを増やすことができます。「だったら最初からアウトソーシングをすればよいのでは」と思われるかもしれませんが、自分自身で企画の流れやポイントを知っておかないと、どの工程に時間がかかるか読めず、スケジュールを引くことができません。また、外部クリエイターに適切な指示もできないでしょう。
こうして、少しずつ担当企画のボリュームを増やしていくと、やがてメディアをまるごとディレクションできるようになっているはずです。

キャリアにあわせて難易度の高い仕事に挑戦

ひと通りメディアを回せるようになったら、自身のキャリアにあわせてより高度な仕事に挑戦していただきます。学校案内や会社案内、VIPのインタビュー、新規メディアの立ち上げなど。築き上げたネットワークを活用して、新しい仕事を自分でつくりだすのも醍醐味です。
仕事の自由度の高さは、編集プロダクションならでは。エディマートでは、業界やメディアの種類を制限していないので、どんどん自分で企画を立てていただけたらと思います。 

4.最後に

狭き門、高いハードルというイメージが持たれがちな編集プロダクションですが、少し印象が変わったのではないでしょうか。経験者ばかりにこだわっていては、この業界は高齢化が進み、新しいものをつくることができなくなってしまいます。当社も引き続き、素敵な未経験者の方との出会いを楽しみにしていますが、「経験者のみ」とされている同業者の価値観が変わり、未経験者への門戸が少しでも広がって、業界の活性化につながるとうれしく思います。

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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