2021.04.15 Thu
制作や運用を学べる「クライアント参加型編集」。コストダウン、エンゲージメント向上などメリットも。
「自社メディアは立ち上がったけど、制作・運用のノウハウに乏しく回っていない…」
「外注に制作と運用をお願いしているが、いつかは自社で回してコストダウンを図りたい」
DXの進展や印刷価格の低下にともない、誰もが気軽にメディアをもてるようになった今、メディアを立ち上げたはいいものの、品質が低かったり、運用ができていなかったりするケースが多々見受けられます。質の低いメディアは、発信元の信用低下にもつながるため、責任をもって品質向上に努めたいものです。
しかし、誰もが簡単に品質を向上できるわけではありませんし、アウトソーシングを選択すれば自社に知見を蓄積しづらいというデメリットがあります。
そこでおすすめしたいのが、エディマートでも多く手掛けてきた「クライアント参加型編集」。企画や取材、原稿、デザインなどの工程にクライアントがかかわることで、メディアを制作しながら学びも得ることができます。Webメディアだけではなくプリントメディアでも「クライアント参加型編集」のメリットは多く、クライアント側の社員や学生が自ら制作にかかわることで、会社や学校とのエンゲージメントが向上するケースも少なくありません。
今回の記事では、当社が今まで積み重ねてきた経験をもとに、「クライアント参加型編集」について解説をしていきます。
目次
1.どんなときに「クライアント参加型編集」を選ぶべきか
制作や運用のアウトソーシングであれば、最初に仕様を決めておけば、あとは定期的に内容のすり合わせを行うだけでメディアは動いていきます。もちろん有効な選択肢であり、当社もそのようなご相談を多くいただきます。
一方で当社は、創業間もない頃から、クライアントに制作からかかわっていただき、一緒にメディアを作りながら制作のノウハウを習得していただく「クライアント参加型編集」を多く手掛けてきました。
それでは、どのようなときに「クライアント参加型編集」が選択されるのか。まずは2つの例を紹介します。
例1:自社運用をめざしノウハウを習得したい
1つ目の例は、コンテンツ制作、運用のノウハウをまったくもちあわせていないなかで、メディアだけが立ち上がった、または立ち上がろうとしているケース。もしくは、しばらくオウンドメディアを運用してみたものの、内容が乏しかったり、更新ペースが遅れていったケースです。
多くはアウトソーシングを選択すると思いますが、「いずれは自社で運用したい」という想いがある場合、「クライアント参加型編集」を選ぶことをおすすめします。「クライアント参加型編集」を選択すれば、クライアントの制作・運用担当者が制作にかかわりながら、制作会社のもつノウハウを習得し、半年から1年程度で自社運用に戻すことが可能です。
オウンドメディアが乱立する近年、当社ではこのようなニーズが多く聞こえてきます。
例2:社員の学びやスキルアップの場として活用したい
一般的なビジネスマンであっても、自身で企画書をつくったり、社内外に向けた文章やレイアウトを考えたりすることは少なくないと思います。しかし各社とも、商売に直結するノウハウは習得することができても、ビジネスにおけるクリエイティブ作業について、ていねいに指導されることは少ないのではないでしょうか。「クライアント参加型編集」は、メディア制作活動を通して、ビジネスにおけるクリエイティブ能力の向上を図ることができるため、スキルアップを目的として選択されるケースもあります。
また、企画立案や取材、原稿執筆、デザインといった本格的なクリエイティブ活動は、一般の企業では体験しづらいもの。自社の本業とは違う体験をすることは、社員の視野を広げてくれます。いつもと違った刺激は、社員のモチベーションアップにもつながるかもしれません。
学校や学生団体がクライアントとなる場合には、学生たちの学びの一環として「クライアント参加型編集」を選択することがあります。メディアを学ぶ学校によくみられますが、学校案内の内容を学生に企画させたり、取材を自身で行ったりすることで、制作を実体験させることも。企業でも同様のケースはあり、所属するスタッフが自社について深く知ろうとする行為は、愛社精神の醸成やエンゲージメント向上につながります。
2.「クライアント参加型編集」のメリットとデメリット
もちろん、「クライアント参加型編集」はメリットばかりではありません。メリットとデメリットの両面を知っておくことで、メディアの運用を効率よく進めることができます。
クライアント参加型編集のメリット
クライアント側はもちろん、制作側にもメリットがあります
・ノウハウ構築による将来的な安定運用、コストダウン
・社員のクリエイティブ能力の向上
・社員のモチベ―ションアップ
・企業と社員とのエンゲージメント向上
・クライアントとの交流による信頼関係の醸成
・教えるノウハウを横展開
・教えることで自社の学び直し、レベルアップ
クライアント参加型編集のデメリット
もちろんデメリットもありますが、事前に予測しておけるものばかりです。
・アウトソーシングより時間がかかる
・ノウハウ構築まではコストがかかる
(工期の長期化、制作会社の動員数増によるコストアップ)
・工期の長期化(レクチャー資料の準備、説明、提出内容の仕上げなどに時間を要する)
・稼働スタッフの増加(レクチャーを担当するスタッフ、制作を担当するスタッフを用意)
3.制作工程におけるクライアントのかかわり方
それでは、実際に制作工程において、クライアントにはどのようにかかわっていただくか。当社の過去の実例からまとめていきます。
制作工程ごとのかかわり方(エディマートの実例)
- 企画立案
定例会議の場を設け、クライアントの担当からコンテンツに関するアイデアを吸い上げます。白紙から始めると時間を要するため、ベースとなるアイデアは制作会社側が用意しておくとよいでしょう。なお、アイデアを実際のコンテンツにどう落とし込むかは、初期においては経験豊富な制作会社が行い、その流れを把握してもらった上で、クライアントの担当者に引き継いだほうがスムーズです。
- 取材
取材手順について解説したあと、まずは制作会社の取材に同行することからスタート。その後、制作会社がサポートしながらクライアント担当者自ら取材。問題ないと判断したら、単独で取材という流れを組みます。
- 原稿執筆
事前に原稿執筆の基本をレクチャー。統一表記などのルールを共有し、制作会社が用意した見本原稿をまねることからスタート。改善点を指導し、原稿レベルを上げていきます。
- デザイン
印刷媒体の場合はデザイン専用のアプリケーションを使用することから、クライアントの担当者はラフスケッチの作成は携わっても、本格的なデザインにまでかかわることは少ないです。いずれのケースでも、原稿と同じく、制作会社が用意した見本をまねたり、ベースデザインをアレンジすることから覚えていただきます。
当社では、エディマグに文章の書き方など、制作にかかわるノウハウをまとめていますので、こちらもも必要に応じて参考にしていただきます。
連載と単発企画ではかかわり方が異なる
上記でもふれていますが、定期的な運営メディアの場合は、ステップアップの工程を作ることが大切。当社のスタッフもそうですが、いきなり企画が立てられたり、原稿が書けたりするわけではありません。まずは、座学で基礎を習得し、その後既存のものをまね、徐々にオリジナルをめざすという流れを組みます。
一方で、単発の企画で「クライアント参加型編集」を試みる場合は、座学による基礎習得と、各工程のファーストステップを実践していただきます。学ぶ量には限界がありますが、その後クライアントが運用する際にあがった疑問や不明点は、メールや電話、チャットでアドバイスし、万全のサポートをしていきます。
ウェビナーの併用もノウハウ習得には効果的
これまで当社では、「クライアント参加型編集」の場合は対面で寄り添いながら、レクチャーすることがほとんどでした。しかしコロナ禍でDXが一気に進展した今、オンラインを活用した対応も増えています。
たとえば某お客さまは、半年間のウェビナーと制作活動を並走し、効果的に制作と運用のノウハウを学びながら、実務も体験していただいています。
当社のコンテンツセミナー「エディマルシェ」では、取材、執筆、校正、運用についてレクチャー。ご要望にそって、セミナー内容はカスタマイズさせていただきます。
4.「クライアント参加型編集」をオーダーできる会社とは?
このように、メリットが多い「クライアント参加型編集」。しかし、どんな制作会社にもオーダーできるわけではありません。通常の制作に「レクチャー」という工程が加わるため、コミュニケーション能力が求められますし、スタッフの数も必要です。
こんな会社なら「クライアント参加型編集」をオーダーできる
- 制作実績が幅広い
コンテンツの専門性のある制作会社と、自社のつくりたいものがマッチするなら、その会社を選ぶべきですが、そうでなければ幅広い制作実績をもつ制作会社を選びましょう。幅広さは、対応力のあらわれです。
- 大手との制作実績がある
相手の企業規模が大きいほど、求められるトーン&マナーのレベルは上がることでしょう。大手との制作実績がある会社なら、「人に教える」という工程も安心して任せられると考えます。
- 企画からフィニッシュまで手掛けている
一気通貫での学びを得るなら、その制作会社がワンストップで制作を担っているかも重要。原稿だけ、デザインだけを行う会社の場合、学びの範囲も限られます。
- スタッフが充実している
数名規模の制作会社では、通常業務で手一杯であり、レクチャーに人が割けません。10名以上の規模の会社が適していると考えます。
「クライアント参加型編集」の相談方法
オーダーする制作会社の目星がついたら、さっそく相談してみましょう。すでに保有しているメディア、これから立ち上げようとしているメディアの情報の共有とともに、「現在、制作、運用においてどんなところに困っているか」、「いつまでに課題を解決したいか」を相談してみてください。めざしたいコンペティターがあれば、その情報もあわせて伝えると、制作会社としてはプランが組みやすいです。
その後、制作会社から訪問やオンラインで詳細の聞き取りがあり、プランとともに見積もりが提示されます。通常のアウトソーシングよりかさむ、工数、人員分が増額されるはずです。予算と乖離する場合は、プランの見直しなどを相談してみましょう。
5.「クライアント参加型編集」の実例を紹介
総合資格学院・NAGOYA Archi Fes
☆建築を学ぶ学生実行委員とともに、卒業設計展イベントの記録集を制作
中部地方の建築学生が運営する学生団体が、年1回主催する卒業設計展「NAGOYA Archi Fes」。イベントの企画や運営は、総合資格学院のサポートのもと学生の実行委員が行っています。イベントの記録集の制作を担当している当社は、学生実行委員に撮影やコメント取り、表紙アイデア出し、一部ページデザインなどをオーダーし、彼らを主役とした本づくりを行っています。各工程ごとに、学生に対してより読者に伝わるためのコツをアドバイス。完成した書籍は、学生がかかわったとは思えない出来栄えになっています。
中部電力・COELOG(コエログ)
☆当社の取材活動に参加し、現在は自社でメディア運用中
インフォバーン様からご依頼いただき、中部電力様が運営するメディア「COE LOG」のリサーチ・取材・コピーワークを担当。COE LOGは、中部電力社員が市民のみなさんとの対話を通して、中部地方の暮らしをよくするヒントを見つける活動のプラットフォーム。中部電力の社員様も当社の取材活動に参加し、質問を重ねられました。インフォバーン様の綿密な伴走もあり、現在は中部電力様ご自身でメディアの運用をされています。
6.最後に
通常のアウトソーシングより、コストは高くなるものの、将来的な制作、運用を考えると結果的にコストダウンにつながる「クライアント参加型編集」。自社に制作、運用のノウハウが構築できると、更新頻度があがったり、別のメディアに横展開できたりと可能性が広がります。
一方で、このようなオーダーをサポートできる会社は限られているのも事実。エディマートでは豊富な「クライアント参加型編集」の実績がありますので、お気軽にご相談ください。
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