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2021.06.04 Fri

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募集が増える「歴史ライター」。専門知識とともに、雑誌やWebで書く前に知っておくべきこと

「歴女ブーム」と言われて久しいですね。もはや「歴史もの」のニーズは、一時のトレンドではなく定着した感があり、Webメディアでも「歴史ライター」の募集が増えているようです。

歴史に関連した読み物はブームを問わず、常に根強い人気を誇ります。観光コンテンツ、地域資源に関連するコンテンツでも、歴史にふれることは少なくありませんし、さまざまなコンテンツに歴史のエッセンスを加えることでより厚みが出るでしょう。

歴史コンテンツというと、専門知識が必要でハードルが高いイメージがあるかもしれません。確かに難易度が高いジャンルですが、ポイントをおさえることで専門家でなくても執筆することは可能です。

当社にも歴史の専門家はいませんが、さまざまなメディアに歴史ライターとして参加し、コンテンツを提供してきました。今回は、そんな経験を積んだ当社が、雑誌やWebで歴史コンテンツをまとめるコツや、注意しているポイントをご紹介。

歴史コンテンツの制作に困っている方、これから歴史ライターをめざす方の参考になればと思います。

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1.歴史ライターの仕事とは

ひとえに「歴史ライター」といっても、その仕事はバラエティ豊か。もしそのイメージが「歴史関連の小説執筆」だとしたら、認識が偏っているかもしれません。

歴史のカテゴリは非常に幅広い

「歴史」と聞くと、「戦国時代」「幕末」「武将」などが思い浮かびませんか?しかし実際は、人類誕生から現在まで、対象となる時代はさまざま。また、日本だけではなく、世界の歴史に関連する記事執筆を依頼されることがあります。

また歴史という要素は、あらゆるコンテンツに関連してきます。観光情報で由緒ある名所について伝える際、また企業の周年記念のコンテンツをつくるとき、郷土にゆかりの偉人を紹介する場合など、メインのコンテンツの補足情報として、歴史の要素を加えることも少なくありません。

伝える相手も「歴史好き」な読者だけが対象ではないため、幅広い層を想定しなければなりません

自治体が郷土の歴史を伝える場合、そのターゲットは老若男女でしょう。またオーダーによっては、「子どもでもわかるように」ということもあります。

当社では、歴史コンテンツは2つに大別できると考えます。勝手な呼び方で恐縮ですが、1つが「史実を正確に伝えるコンテンツ」、もう1つが「史実をベースにロマンをかきたてるコンテンツ」です。

史実を正確に伝えるコンテンツとは?

「史実を正確に伝えるコンテンツ」とは、その名の通り、歴史上の事実を曲げることなく正しく伝えるコンテンツ。そのため、資料をもとに原稿をまとめたり、専門家に話を聞き執筆したりするのが基本です。

史実を正確に伝えるコンテンツ例

  • 地域の歩み

    自治体の発展の歴史をまとめたもの。町史や市史など

  • 企業の歩み

    創業年が古い企業の場合、時代背景の史実の考察が必要な場合がある

  • 神事や祭事の歴史

    神事や祭事の多くが長い歴史をもち、正確な発信を求められる

  • 郷土の偉人伝

    郷土が誇る偉人の業績などを伝えるコンテンツ

「史実を正確に伝えるコンテンツ」は、文章力以上に資料を読み解く力が求められます。裏を返せば、歴史ライターの経験が浅くても担当できるコンテンツと言えるでしょう。

史実をベースにロマンをかきたてるコンテンツとは?

歴史コンテンツのなかには、読み物としての面白さを重視するものも少なくありません。

歴史では詳細がわかっていないものや、さまざまな解釈をされるエピソードがあります。たとえば「本能寺の変」の動機、「坂本龍馬暗殺」の実行犯など。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

雑誌やWebのコラムなどでは、そういった歴史の謎についてまとめた読み物も好まれます。史実をベースに、不明瞭な部分は諸説を考察したり,歴史ライターの解釈を交えて原稿をまとめる必要があります。

史実をベースにロマンをかきたてるコンテンツ例

  • 歴史小説

    史実をベースに創作した歴史物語。司馬遼太郎、池波正太郎など人気作家は多数

  • 歴史の謎

    史実として判然としない「謎」についてふれたコンテンツ。本能寺の変、坂本龍馬暗殺、邪馬台国の場所

  • 歴史から学ぶ

    史実の当事者の判断などを参考に、現代の学びを得るコンテンツ。「三国志から学ぶ」「武将や軍師から学ぶ」など

「史実をベースにロマンをかきたてるコンテンツ」は、自らの解釈を加えることもあるため、歴史に関する広く深い知見が求められます。そのため、キャリアがしっかりとある歴史ライターに任せるべきでしょう。

2.歴史ライターに必要な知識とは?

では、歴史コンテンツをまとめるにあたって、どれぐらいの知識が必要なのでしょうか。多くのライターは、その都度資料を深く読み込み、関連する情報にも目を通した上で、依頼主のオーダーに沿った間違いのない原稿を仕上げます。

たとえば、ある会社の製品PRをするとき、ライターはその製品の専門家でなくても文章はまとめられます。歴史コンテンツも基本は同じであり、専門知識がなくても一般常識と資料を読み解く力があれば、多くの歴史関連の記事はまとめられるはずです。

歴史ライターに必要な専門知識

繰り返しになりますが、史実を正確に伝えるコンテンツでは専門知識を必ずしも必要としません。ともすれば、中途半端な専門知識により、偏りや脚色が生まれる危険性をはらみます。

だからといって楽観視はNG。資料を読み解くにあたっては、一般常識が必要です。用意される資料は必ずしも潤沢とは限らないため、中学校までに習う程度の日本の歴史、世界の歴史の知識はあった方が良いと考えます。一般常識をベースに資料を読み解き、狭域かつ一時的でも構わないので、執筆前には対象となる歴史コンテンツのプロフェッショナルになることをめざしてください。

一方で「史実をベースにロマンをかきたてるコンテンツ」は、専門知識が求められます。史実はあくまでも「歴史上あったこと」。そこから発展させた内容の場合は、歴史に関する時系列での深い理解、人物の相関関係、国を超えたつながりなどの知識が必要になってきます。また、歴史研究は現在も続いており、最新の情報も頭に入れておく必要があります。

専門性よりも、広く、偏りのない知識を

「史実を正確に伝えるコンテンツ」の場合、歴史ライター側が自分の想いや解釈で勝手に原稿をまとめることはできません。

求められるのは「広く、偏りのない知識」。たとえば、戦国時代のある武将は、Aという街では郷土を切り拓いた偉人かもしれませんが、Bという街では侵略や破壊をつくしたヒールということも。幅広い読者が想定されるコンテンツの場合、史実を多様な視点で見つめ、ニーズにあわせて内容を精査する必要があります。

そのためにも歴史コンテンツの執筆依頼が来たら、「誰に」「何を」、「なぜ」伝えるかを明確にしておきましょう。

街のPRのために広く郷土の偉人の功績を伝えるのか。企業の創業年に日本であった出来事をリクルート目的で伝えるのか──。

前者であれば、郷土の偉人の「負」の側面はあえて触れる必要はないでしょう。後者であれば、史実を正確に伝えることがミッションなので、偏った内容にならないように注意しなければなりません。

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3.歴史コンテンツをまとめる際の注意点

ここまで、歴史コンテンツをまとめるには、文章力や専門性以上に、資料を読み解く力や、広く偏りのない視点が必要とお伝えしました。ここでは歴史ライターとして特に注意しておきたいポイントをまとめます。

ソースの見極めが何より重要

歴史コンテンツを執筆する際には資料が必要になってきます。

発注主が用意してくれることもありますが、場合によってはライター側で調べてまとめることも。いずれにしても重要となるのが、資料の出どころです。資料のソースが下記の場合は、信ぴょう性に疑いがあるので、参考とするのは避けたほうが懸命です。

歴史コンテンツで参考にすると危険なソース

  • 個人ブログ

    個人の見解や解釈でまとめていたり、盗用や誤用していたりする可能性あり

  • Wikipedia

    有志による共同作業でまとめているため、記事によっては信ぴょう性が低いものも

  • 歴史小説

    基本的に創作物と考えたい。史実を脚色していることが多く、事実と異なる内容もあり

  • 出典が不明な資料

    書籍のコピー、ブログのプリントアウトなどは、上記のソースであることもあるため、出典を明らかにした上で、問題がなければ参考に

公的資料を重ね合わせる

先ほど危険なソースの例を挙げましたが、信頼できる資料をもとに原稿をまとめたとしても、入手した資料に誤植がない保証はないため安心はできません。また、前述のように歴史研究は現在も続けられており、新しい発見や解釈が生まれている可能性もあります。

可能な限り複数の信頼できる資料を重ね合わせ、ファクトチェックをしましょう。当社では下記方法で歴史コンテンツのファクトチェックを行っています。

歴史コンテンツのファクトチェック方法

  • 関連施設に確認

    特定の史実や偉人について研究、展示を行っている施設があれば、施設の学芸員に原稿を確認してもらう

  • 行政や自治体に確認

    市史や町史を刊行している自治体では、関連した史実や偉人についてファクトチェックしてくれることも

  • 図書館の資料を活用

    Webで信頼できる情報が得られない場合は、図書館の文献を重ね合わせるのも方法

  • 外部校閲に確認

    専門の校閲会社にオーダーすることで、さらに複数のソースを重ね合わせ情報の信頼度を高めることが可能

 

歴史には諸説あるものも

文献を参考にして原稿を執筆した場合は、参考資料を明記しましょう。

参考資料は、読者があなたの記事に興味をもち、より深く知りたいと思ったときにも有益な情報になります。

また、歴史には諸説あるものも。当社でも、名古屋の地名の由来についてまとめる際に、名古屋市計画局が発行した「なごやの町名」を参考文献として明記するなど、地名の由来について可能な限り諸説を割愛することなく掲載するようにしています。

しかし、企画によっては原稿量に限りがあり、諸説が語りきれない場合もあることでしょう。その場合は補足として「※諸説あります」と入れておくのも一案です。

4.当社が歴史ライターを担当した実例

名古屋おもてなし武将隊10周年記念本「天下一名古屋城」

☆武将の語り口としながらも、名古屋城など専門機関の歴史考証を重ねより確実な情報に

名古屋おもてなし武将隊を運営している事務局様からご依頼いただき、武将隊結成10周年記念となる冊子の企画・制作に携わりました。武将隊メンバーの方にお話を伺いながら誌面構成を決め、名古屋城に来られた観光客の方にとって来城のお土産にもなるような一冊に。

名古屋おもてなし武将隊の各メンバーは、それぞれの武将について専門家レベルの知識をもち、記事で伝えるべき内容や歴史的背景をしっかりと語ってくださいました。一方で、より正確な情報にするために、当社から名古屋城総合事務所や名古屋城振興協会など、関係各所に事実内容の確認に協力をいただいています。こうして、武将の語りで史実が学べるというコンテンツを作ることができました。

中日新聞・連載企画「なごや地名物語」

☆地名に秘められた歴史的背景を、脚色なく伝える連載企画

名古屋市内のいろいろな地名を取り上げ、その由来と現在の姿を伝える連載企画です。参考文献は、名古屋市が発行した「なごやの町名」。地名の由来については、ソースを変えれば別の説が出てくることも少なくありませんが、当企画では信ぴょう性の低いものは一切参考にしていません

当社ライターが撮影した現地の「今」の写真を添えることで、歴史を学びながら、時代の移り変わりも感じられる企画になっています。

中日新聞「新美南吉生誕百年」

☆郷土の偉人の功績と、関連イベントをセットにして発信

童話「ごんぎつね」や「手袋を買いに」の作者・新美南吉は、愛知県の安城市で教鞭をとっていました。安城市が「南吉ゆかりの地」として、生誕百年を記念したイベントを開催する際、告知紙面の制作を当社が担当。新美南吉記念館の公式情報を参考にしながら記事をまとめ、完成した原稿は施設の学芸員にもチェックをお願いしています。

地方自治体では、郷土の偉人の功績を伝えながら、関連イベントをセットにして発信することが少なくありません。こういった場面でも歴史を正確に伝えるライティング技術は求められます。

中日新聞「蟹江町須成祭」

☆悠久の歴史を持つ神事や催事。町の大切な「宝物」を正確な記事で広める

名古屋市の西部に位置する愛知県蟹江町は、町の面積の5分の1を河川が占める「水郷の町」。江戸時代から川面を舞台にした「須成祭」が行われており、2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。そんな歴史と伝統を誇る祭を、広く新聞紙面で紹介するため、蟹江町から手配した資料をもとに原稿を執筆しています。

祭は観光資源としても欠かせない「宝物」であり、史実を正確に伝えながらも、関連するスポットへ情報を派生させることで、より多くの読者のアクションへとつながります。当記事でも、須成祭について正確に伝えながら、下部で周辺の観光施設を紹介させていただきました。

4.歴史コンテンツのまとめ

このように、一見難しく見える歴史コンテンツですが、ご紹介したポイントさえつかめていれば、専門知識がなくても執筆は可能です。

今回の記事で、歴史ライターへのハードルが少しでも解消されていれば幸いです。

また前述のように、記事を書くときは「伝える目的を明確にする」ことが重要なポイント。これは歴史コンテンツに限ったことではありませんが、目的を明確にし、ターゲットに向けて適切なコンテンツづくりをするのは簡単なことではありません。

当社には、ターゲットにあわせ確実な歴史コンテンツを制作してきた実績がありますので、歴史コンテンツでお悩みのとき、歴史ライターをお探しの際には、メディアを問わずぜひご相談ください。

 

 

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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