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2019.07.22 Mon

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フリーランスの編集者と法人の編集プロダクションの違いは?メリットとデメリットを紹介

フリーランスの編集者と法人の編集プロダクション

こんにちは、エディマート代表の鬼頭です。

エディマートは法人の編集プロダクションです。一方で世の中には、フリーランスの編集者として活躍している方もたくさんいます。同じ「編集」の仕事でも、法人とフリーランスでは違いはあるのでしょうか。今回はそれぞれのメリットやデメリットについてまとめてみたいと思います。なお、エディマートは2003年6月に、私がフリーの編集者として創業し、3年後の2006年5月に法人化しました。もちろん、法人化を決意したには理由があります。創業から16年が経った今、「法人で良かった」と思うこと、一方で「フリーランスにはかなわない」と感じることについても書いています。最後には表でまとめていますので、企画の発注を考えている方、法人化を考えているフリーランスの方、ぜひご覧ください。

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1.フリーランスの編集者時代を振り返る

前職では、23歳で地元情報誌の編集部に所属した後、26歳で親会社に転籍してWebサイトの構築などを担当していました。もともと本を作る仕事が好きでこの業界に入ったものの、転籍後は少しずつ管理業務が増え、自分で文章を書いたり、デザインを考えたりする機会が減少。一方で編集部時代の仲間が、まだまだ現役でクリエイティブを発揮している姿を見て、“もう一度、現場に戻ろう”と思い退職することを決めます。

フットワークを活かして西へ東へ

退職後、出版社や制作会社に入る道もありましたが、編集部時代にお世話になったデザイナーさんから「うちのオフィスを貸してあげるから、個人でやってみたら?」とお声がけいただきます。 “だったら試しにやってみるか。駄目だったら就職しよう”─そんな軽い気持ちでフリーランスに。29歳の夏のことでした。

パワーマックG4(懐かしのクラシック環境)とFAX付電話、そして名刺。とてもコンパクトな体制で私のフリーランス生活はスタートしました。会社員時代のツテをたどったり、先にフリーランスになった友人に紹介してもらったり。電話をしては訪問を繰り返し、少しずつクライアントを増やす毎日。もちろん相手がこちらに赴いてくれることなどなく、どんな場所に行くのも自分から。すぐに動けるよう、当時は中型バイクで移動していました。

すべては自分。やりがいと怖さ

独立後の最初の仕事は、ある会社の社員に編集ソフトの使い方をレクチャーした講師料5,000円。その後、バナー制作の依頼が入り、エディマート初年度初月の売り上げは26,000円でした。
その後も売り上げは安定せず。前職の貯金が見る見るうちに減っていきます…。それでも、不安もありましたが、楽しさが上回っていました。誰にもしばられることなく、行きたいところに行ける、会いたい人に会える。“このお金は自分で稼いでいる”という実感があるので、金額の多い少ないはほとんど気になりません。カメラマンやデザイナーと一緒に仕事をすることもありましたが、請求書はそれぞれがクライアントへ発送。大きな支払いを抱える怖さもなく、自由を満喫していました。

しかし、要所で「一人であること」の怖さを感じます。書いた原稿、考えた企画、他の人にチェックされることなく納品しなければいけません。制作費の確認も自分自身。あるお客様から「こんな原稿でギャラ取るの?」と怒られたこともありました。

法人化を決意した理由

やがて“少しでも大きな仕事を”と、フリーランスを束ねてフリーペーパーの制作などにも取り組むようになります。一人で完結していた頃よりは売り上げが拡大し、名の知れた企業ともお付き合いできるようになっていきました。
しかしあるプロジェクトで客先の支払いが遅れるトラブルが発生。予定より遅れてやっと入金された金額が、確定見積りより大幅に減額されており、肝を冷やしました。こちらも資本があるわけではないので、協力してくれたたくさんの仲間に、支払いの遅れ、ギャラの減額をお願いすることに。

フリーランスになって自由を満喫する反面、すべての責任が自分にあるため、“自分には味方なんていない”と感じるシーンもしばしば。体調を崩せば仕事が止まる、30代までは良いが、40、50となったときに同じことができるだろうか?
楽しさより不安が勝りつつあった矢先にこのトラブルが重なり、フリーランス生活の限界を感じるようになります。

ちょうどその頃、大学卒業して間もない女の子を、アシスタントとして雇用することになりました。今も活躍してくれているスタッフです。彼女が弟子について3か月後、私は急性腸炎にかかり4日間入院することになります。いろいろなプレッシャーがあったのでしょう。右も左も分からない彼女に、病院から遠隔で指示するというギリギリの対応。このままでは駄目だ。強い組織を作って、この環境を脱しなければ!─自分のためにも、お客様のためにも、ついてきてくれるスタッフのためにも、「法人化」という選択肢しかなかったのです。

 

2.編集プロダクション法人化のメリット

編集プロダクションの社内

このような決意で2006年5月に法人化にいたったのですが、少しずつメリットが出てきました。フリーランス時代を経験した私が感じる、法人化のメリットを紹介します。

 

人とお金、より規模が大きく

法人化するためには資本金が必要です。当時から1円で株式会社は設立できましたが、エディマートでは300万円の資本金を用意。資本金は取引相手からの信用につながりますし、ライターやカメラマンのギャランティ、印刷費なども抱えることで、クライアント側の支払いの手間を軽減することもできるように。

こうすることで仕事の規模が大きくなっていくと、資金にゆとりが生まれ、その分を雇用に充てられるようになります。田中の後にも採用活動を継続。そして社員が増えると対応できる仕事の量と幅が広がり、さらに組織力を活かして急な変更にも対応できることで、クライアントにもメリットがあるという相乗効果が出てきました。

働く環境もレベルアップ

利益は労働環境の改善にも充てています。フリーランス時代の初期の頃は、先輩デザイナーのオフィスを間借り。畳2畳分ぐらいのスペースに机と椅子、本棚を置いていました。
その後カメラマンの友人と一緒に、古いビルの一室をレンタル。中心地から離れた場所で交通の利便が悪く、防犯性能が低かったため、一度空き巣に入られました。

社員が二人になった時点で、名古屋の中心地に近い場所に移転。1フロアを借り、この頃からクライアントが来社しての打ち合わせも増えていきました。そして3年前の2016年には、現在の栄のオフィスビルへ。窓からは大通りの街路樹が見え、明るく、セキュリティ環境も整った快適なオフィスで、14名(2019年7月現在)のスタッフが楽しく仕事をしています。

品質向上、事故の防止。すべて組織で解決

法人化したことにより、品質が確実に向上しました。原稿完成時、デザインアップ時、印刷入稿前、校了時など、複数のタイミング&複数の目でチェック。誤植や情報のミスはもちろん、一人よがりのクリエイティブになっていないか、お客様の求める品質を越えるものになっているか、などチェックポイントもさまざまです。
もちろん品質の最終責任者は私ですが、私の原稿の誤植に社員が気づくこともあり、組織だから担保できるクオリティは必ずあると実感しています。

 

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3.編集プロダクション法人化のデメリット

フリーランス時代を知っているからこそ、ふとしたときに“あの頃は良かった”と遠い目で振り返ることもあります。もちろん感傷にひたっているだけのときがほとんどですが、法人よりフリーランスのほうが勝っている点もあります。

慎重な意思決定、走る前に考えがち

組織によって差はありますが、一般的に法人は意思決定が複数で行われるため、フリーランスより判断が遅れがち。エディマートでは、現場担当の後にマネージャー、その後代表である私が確認するため、少なからずタイムラグは生じます。
もっとも、このフローは意図的なものであり、「さまざまな視点、広い視野で決断ができる」というメリットがあります。また、慎重に意思決定するからこそ、次のステップ以降はスピーディに動けるということも言えるでしょう。

フリーランスより見積はややお高め

組織で動く以上、個人より必要経費がかさみます。賃料、水道光熱費、通信費、PCリース料など。エディマートでは不当に高い料金設定は行いませんが、それでもフリーランスに比べれば、見積もりは高くならざるを得ません。しかし、先の述べた「メリットが金額にのっている」と思っていただければ、適正価格であることに納得いただけるはずです。

 

3.最後に

フリーランスと法人、それぞれの強みについて表でまとめてみました。もちろん、フリーランスでも大きな仕事をバリバリと動かしている方はいますし、法人とは名ばかりのところもあることでしょう。あくまでもフリーランスと法人の両方を経験した私の主観としてお考え下さい。

いかがでしたか?これからフリーランスになろうという方、今フリーランスで法人化を検討している方などの参考になればうれしく思います。
なお、エディマートでは予算やフットワークについても善処しますので、お気軽にご相談ください。

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EIJI KITO

この記事の執筆者EIJI KITO代表取締役

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1973年生まれ。96年に同志社大学卒業後、新卒入社の宣伝会議で編集職の楽しさを知るも、己の未熟さから挫折。地元名古屋に戻り、プロトコーポレーションの制作部門に入社し、編集の仕事を学び直す。親会社に転籍後はWEBのプランニングに従事。03年フリー編集者として独立、06年法人化。エディマート代表として制作と営業を統括しながら、自身も編集者として最前線に立つ。好きな言葉は岡本太郎の「危険だ、という道は必ず、自分の行きたい道なのだ」。趣味はバイクとマイクラと部屋いじり。

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